研究概要 |
我々は胃壁細胞にEt_b受容体の存在とそれにカップルするMaxi-Cl^-チャネルと非刺激時にみられるpH感受性のMini-Cl^-チャネルを見いだした.そこで本分担研究では、Maxi-およびMini-Cl^-チャネルのチャネルとしての性質の違いを薬理学的、電気生理学的側面から明かにし、さらに細胞内情報伝達系の関与を検討した. Maxi-Cl^-チャネルは電圧、時間非依存性のコンダクタンスが約300pSのチャネルであり、NPPBのID50は33uMであった.他のCl^-チャネルブロッカーであるDIDS,SITSには感受性を示さなかった.また細胞外pHを変化させてもチャネル活性の変化はみられなかった.またこのチャネルはETによるET_B受容体刺激により活性化を受け、ET-1によるED50は1.6uMであった.一方、Mini-Cl^-チャネルも電圧、時間非依存性であったがコンダクタンスは<1pSであり単一チャネルとしては観察されなかった.NPPBのID50は12uMとMaxi-Cl^-チャネルと異なっていたが、DIDS,SITSに対しては同様に感受性を示さなかった.このチャネルは細胞外pHを7.4から5.0DIDS,SITSに対しては同様に感受性を示さなかった.このチャネルは細胞外pHを7.4から5.0に低下させることによりチャネルのカイネチィクスには影響を与えずに著明な抑制を示し、IC50はpH6.3であった.しかしながら細胞内pHを4.0から8.0に変化させてもチャネル活性の変化はみられなかった. この両者のチャネルは細胞内Ca^<2+>,cyclic AMP,cyclic GMP,GTPrS、および細胞容積変化には非依存性であった.また酸分泌刺激剤、プロトンポンプインヒビターに対してもなんらの感受性を示さなかった.アラキドン酸、プロスタグランヂン、H-7なども作用をしめさなかった.
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