研究課題/領域番号 |
07276226
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
寺田 弘 徳島大学, 薬学部, 教授 (00035544)
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研究分担者 |
篠原 康雄 徳島大学, 薬学部, 助教授 (60226157)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1995年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 溶質輸送担体 / ミトコンドリア / キャリアータンパク質 / ADP / ATP carrier / 構造修飾 / 活性発現機構 |
研究概要 |
我々はこれまでに、ミトコンドリア内膜のADP/ATP透過担体にはマトリックス側(ミトコンドリア内膜側)に3つの親水性ループが存在することを明らかにした.本研究では、SH基の酸化触媒試薬である銅-オルトフェナンスロリン錯体(CuOP)を用いて、本透過担体に存在するシステイン残基の架橋形成の反応性について、透過担体のコンフォーメーション変化との関連で解析を行った. CuOPをミトコンドリアの内腔(マトリックス)側から作用させたところ、ループ中のシステイン残基は極めて選択的に分子間架橋を形成し、それに伴って本透過担体のヌクレオチド輸送活性が消失することが明らかになった.架橋形成部位を解析した結果、CuOPによってマトリックス側の第1ループに存在するCys56が選択的に酸化され、2分子の透過担体のCys56間にジスルフィド架橋が形成されていることが明らかになった.更に、特異的阻害剤を用いて本透過担体を、輸送に際して取りうる2つのコンフォーメーション(m-stateとc-state)にそれぞれ固定して、システイン残基の反応性を調べたところ、m-stateではCys56間のみに分子間架橋が速やかに形成されるのに対し、c-stateでは全く架橋形成が起こらなくなることが明らかになった.以上の結果から、(1)この透過担体は同じ配向性を示す2分子が互いに向かい合ったダイマーとして機能し、(2)第1ループはm-stateではマトリックス側に露出しているが、c-stateでは担体分子内に貫入していることが明らかになった.従って、ヌクレオチドの輸送に際して、マトリックス側に露出した2つの第1ループが協調的にスウィングすることで開閉するゲートの役割を果たしていると考えられ、これまでの結果を考え併せると、第1および第2ループはヌクレオチドの輸送に際して開閉するゲートと基質認識部位をそれぞれ形成し、透過担体はこれらのループの協調的な立体配置の変化によって輸送機能を発現していると結論した.
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