研究概要 |
昨年度リバース・イムノジェネティックス法によって明らかにしたHLA-B^*3501抗原によって提示される10種類のHIV-1 CTLエピトープを認識するCTLクローンを作製し、CTLエピトープの同定を試みた。10種類のHIV-1エピトープ(pol蛋白:6種類、nef蛋白:2種類、env蛋白:2種類)のうち1種類のpol蛋白上のエピトープを除く9種類のエピトープに対してCTLクローンを作製することができた。これらのCTLクローンは、ペプチド結合させた標的細胞だけでなく、対応するHIV-1蛋白遺伝子を組み込んだワクチニアウイルスを感染させた細胞を特異的に障害した。またすべてのCTLクローンは、0.1nMから10nMのペプチド濃度で50%以上の細胞障害活性を示した。このことよりこの9つのペプチドはCTLのエピトープとして認識されていることが明らかになった。これらのCTLクローンを用いてType BのHIV-1ウイルスに見られるエピトープ上の変異をT細胞が認識するかを調べた。22種類の変異エピトープのうち11種類に対しては認識が可能であった。11種類のCTLによって認識されなかったエピトープの内1つは、2番目のアンカーとなっているアミノ酸が置換しているためHLA-B^*3501分子との結合が出来なかった。9-merのエピトープではエピトープ内の1,4,5,7,8番目のアミノ酸残基がT細胞レセプターの認識部位であることが推定された。
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