研究課題/領域番号 |
07277222
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
加藤 真吾 慶応義塾大学, 医学部, 助手 (10177446)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1995年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | エイズ / HIV-1 / 末梢血 / 感染性 / env遺伝子 / V3領域 / 遺伝的多型 / 系統樹 |
研究概要 |
感染個体内のHIV-1は高度の遺伝的多型があることが明らかになっている。このHIV-1の遺伝的多型は、HIV-1に対する感染個体の免疫反応による選択圧によって生じていると考えられる。AIDSの本態が全身性免疫不全であることを考えると、感染個体内のHIV-1の遺伝的多型は感染者の病態変化とも密接に関係していると思われる。一方、感染個体内から検出されるHIV-1のうち感染性をもつものは極少数であること明らかにされている。したがって、HIV-1の遺伝的多型を調べるときも、全体のHIV-1と感染性HIV-1を別個に扱う必要がある。そこで、我々は、末梢血単各球中のプロウイルス、血漿中のビリオンRNA、およびプラークハイブリダイゼーションによって検出した未梢血単各球中の感染性プロウイルスの3集団についてそれぞれ10個ずつクローニングを行い、env遺伝子V3領域における塩基配列を決定し、系統樹を作製することによって、それぞれの集団の遺伝的多型およびそれらの間の差異を分析した。対象はAC、ARC、AIDSの各病期にある感染者各1人である。ARCの症例に関しては2年間にわたって5回分析を行った。その結果、いずれの集団においても遺伝的多様度は病期の進行にともなって減少する傾向があった。これは、免疫能によるHIV-1に対する選択圧が低下し、増殖能力の高いHIV-1株が優勢になるためと考えられる。3集団を比較すると、遺伝的多様度は高い方から血漿中のビリオンRNA、末梢血単各球中の全プロウイルス、末梢血単各球中の感染性プロウイルスの順であった。血漿中のビリオンRNA集団と末梢血単各球中のプロウイルス集団を比較すると、両者に共通する亜群とどちらかだけ亜群が存在することが分かった。これは、両者の集団の一部が異なる組織で産生されていることを示唆している。経時変化をみると、末梢血単各球中の感染性プロウイルス集団に現れたHIV-1株が末梢血単各球中の全プロウイルス集団、そして血漿中のビリオンRNA集団へと拡がっていく傾向がみられた。すなわち、感染性プロウイルス集団の遺伝的特徴が変化が全体のHIV-1集団の先行指標になりうることを示しており、治療ワクチンや免疫学的遺伝子治療のエピトープの選択に重要な意味をもつと考えられる。
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