研究課題/領域番号 |
07278223
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
畠 義郎 大阪大学, 医学部, 助手 (40212146)
|
研究期間 (年度) |
1995
|
研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
|
配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1995年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
|
キーワード | 一次視覚野 / 眼球優位性コラム / 視覚遮断 / 神経栄養因子 / 逆行性伝達物質 / 生後発達 / ネコ |
研究概要 |
大脳皮質一次視覚野では類似した生理学的性質を持つニューロンが皮質表面から白質まで垂直に配列し、機能円柱(コラム)と呼ばれる構造を造っている。最近、神経栄養因子がこの視覚野のコラム形成に関与する可能性が示唆されている。そこで発達期の一次視覚野をモデルとして、片眼遮蔽による眼球優位性コラムの可塑的変化における脳由来神経栄養因子(BDNF)の関与を検討した。生後4週の仔ネコの大脳皮質視覚野に、BDNFを充填した浸透左ポンプにつないだカニューレを慢性的に埋め込んだ。この動物の片眼を眼瞼縫合により視覚遮断し、次に、遮閉眼あるいは非遮閉眼に放射性同位元素で標識したアミノ酸、〔^3H〕-Prolineを注入した。2週間の生存期間の後、視覚野を含む皮質領域を伸展標本にした。この皮質標本上において、それぞれの眼からの入力線維の分布を通常のオートラジオグラフィ法を用いて可視化し、遮閉眼あるいは非遮閉眼のコラムの大きさを測定した。非遮蔽眼をラベルした動物において、BDNFが作用していなかった領域では、すでに報告されているように非遮閉眼のコラムが拡大していた。それに対して、BDNF注入部位の近傍では、皮質IV層は一様にラベルされ、コラム構造は観察されなかった。遮蔽眼をラベルした動物では、BDNFが作用していなかった領域では遮蔽眼のコラムが縮小していた。しかしBDNF注入部位の近傍では、非遮蔽眼をラベルした動物と同様に、皮質IV層は一様にラベルされコラム構造は観察されなかった。実験に用いた動物では実験開始の時点ですでに眼球優位性コラムが形成されていたと考えられることから、外部からのBDNF投与が眼球優位性コラムの維持を阻害し、視床からの入力線維のdesegregationを引き起こしたと考えられる。この結果は、視床からの軸索終末がBDNFに反応して可塑的に変化する可能性を示唆する。
|