研究課題/領域番号 |
07278235
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
大久保 博晶 熊本大学, 医学部, 教授 (20094089)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1995年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 神経前駆細胞 / TEF-1 / 転写調節因子 / TEAドメイン / 神経発生 / ETF / 後脳 / マウス |
研究概要 |
哺乳動物神経発生の初期過程に関わる分子機構を解明する目的で、我々が神経前駆細胞からサブトラクションとdifferential hybridization法を用いて単離したcDNAクローンの一つは、ヒトのHeLa細胞から単離されたSV40のエンハンサーに結合する転写因子TEF-1と、約65%の相同性を示す新たな蛋白ETF (Embryonic TEA domain-containing Factor)をコードしていた。本蛋白はヒト、マウス、ニワトリなど脊椎動物のTEF-1をはじめ、出芽酵母のトランスポゾンTy1の活性化に必要なTEC1、こうじカビ(A.nidulans)の胞子形成に関与するabaA、ショウジョウバエの感覚神経細胞の分化に関与するscalloped (Sd)等の遺伝子産物とファミリーを形成し、脊椎動物ではTEF-1に次ぐ2番目の新しいメンバーである。このファミリーに共通に保存され、DNA結合領域と推定されるTEAドメインの一次構造、およびGT-IICモチーフに対する特異的なDNA結合活性は本蛋白においてもTEF-1同様に完全に保存されていたが、HeLaやP19などの哺乳動物細胞を用いたDNAトランスフェクションの実験では明らかな転写活性は検出できなかった。今後さらに他の細胞株を用いた検討を行う予定である。一方、本mRNAの発現はマウスの胎生10日前後をピークとし、特に後脳領域に発現をみとめ、成体には殆ど発現が見られず、ETFは神経前駆細胞、とくに後脳や小脳、の発生過程に関与する転写因子である可能性が強く示唆された。この点についても、組織細胞レベルでのin situハイブリダイゼーションやETFに対するペプチド抗体の作製を試みている。またETFは、このファミリーの哺乳類で2番目の蛋白であるが、ニワトリTEF-1もいくつかの根拠から、マウスやヒトのTEF-1とは異なるサブタイプと考えられることから、我々は最近、哺乳類におけるTEF-1の新たな複数のサブサイプの存在を予測し、混合オリゴヌクレオチドを用いたPCR法で、新たなTEF-1ファミリーcDNAを単離することに成功した。さらにETFの発現調節、生理機能、進化を明らかにすべく本遺伝子の単離と構造決定を進めており、染色体マッピングにも成功した。
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