研究概要 |
本研究の目的は最近になり構造の明らかにされたオピオイド受容体の中枢神経系における機能に迫ることであり、そのためにまず受容体欠損のモデル実験動物を作製することが急務である。申請者らはcDNAクローニングにより4種のオピオイド受容体関連遺伝子(ROR-A,B,C,D)を見い出し、ROR-C(リガンド不明なオピオイド受容体相同物)とROR-D(kappa型オピオイド受容体)のマウスにおける遺伝子単離及びその構造決定を行った。さらに、マウス胚性幹細胞(ES cells)を用いた相同組み換え法により、ROR-C受容体欠損マウスをモデル実験動物系として樹立した。 極く最近、スイスと合衆国の独立の研究グループからROR-C受容体に対する生体内リガンドとしてnociceptin又はorphaninFQと名付けられた神経ペプチドが報告され、その疼痛閾値を低下させる生物学的活性が示された。現在、申請者らはnociceptin/orphaninFQ受容体欠損マウスと対照動物の比較から疼痛閾値や学習能力の変化を検討中であり、近い将来nociceptin/orphaninFQ受容体の中枢神経系での機能が明らかにできるものと期待している。
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