研究課題/領域番号 |
07279103
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
磯部 俊明 東京都立大学, 理学部, 助教授 (70106607)
|
研究分担者 |
花岡 和則 北里大学, 理学部, 教授 (40189577)
|
研究期間 (年度) |
1995
|
研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
|
配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1995年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
|
キーワード | 神経回路 / 組織形成 / 細胞周期 / シグナル伝達 / 小脳蛋白質 / 翻訳後修飾 / 質量分析 / 一次構造 |
研究概要 |
ラット小脳を実験系として脳神経系の形成に関与する蛋白質/遺伝子を検索し、その構造・機能解析によって哺乳動物脳の神経組織形成の分子機構を解明することを目的として研究を行い以下の結果を得た。(1)小脳形成に関わるより微量の蛋白質を系統的、網羅的に検索、分離するための基盤技術、ならびに分離精製した蛋白質を質量分析計を使用して構造決定する新しい超微量構造解析法を確立した。その結果、2次元電気泳動後の蛋白質スポットから抽出したフェムトモル領域の超微量蛋白質の一次構造の決定が可能となった。(2)この方法の適用により、250種類以上の小脳蛋白質について組織形成過程での発現パターンを解析した。小脳の成熟過程に特有な蛋白質は約16種類検出された。これらの蛋白質を質量分析法で一次構造決定することで、そのほとんどを同定した。同定した蛋白質は、神経細胞の分化に関与する脂肪酸結合蛋白質、PKCやMAPキナーゼの基質として知られるMARKSのリン酸化・非リン酸化型、MAP-22、蛋白質代謝に関わるユビキチンC末端加水分解酵素、シグナル伝達系のリレー分子とされるスタスミンのリン酸化・非リン酸化型、リンパ球の増殖制御に関与するサイモシン、パラサイモシンなど、いずれも細胞の増殖と分化、細胞周期の調節や組織形成での機能が推定されるシグナル伝達系の蛋白質あるいは関連酵素であった。この結果は、哺乳動物の小脳形成が多くの点で脳以外の組織やより下等な生物の神経系の形成と共通の分子機構によって担われており、その過程では、遺伝子の発現調節だけでなく、発現された蛋白質の翻訳後修飾の調節もまた重要な役割を果たしていることを示唆していた。将来、これらの分子の組織化学的な解析や標的蛋白質の同定、分子間相互作用の解析や、発生工学・細胞工学的な方法による機能解析により、神経系形成に関わる分子とその作用に関する有益な知見が得られるものと考えられる。
|