研究課題/領域番号 |
07279210
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
古市 貞一 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (50219094)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1995年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | 小脳 / 遺伝子発現 / プルキンエ細胞 / トランスジェニクマウス / 機能発達分子 / 帯状発現 / βガラクトシダーゼ / ミュータントマウス |
研究概要 |
1.小脳の機能発達期に特異的な分子の遺伝子発現をディファレンシャル・ディスプレイ法で体系的に探索した。胎性(E)18、生後(P)0、P3、P7、P12、P15、P21、成獣(A)の小脳RNAから機能発達ステージに沿って特有な発現パターンを示すPCR産物が得られた(現在23種)。これらの中には発達とともに発現が上昇するもの、逆に減少するもの、特定のステージのみ発現するものなどに分類できた。 2.小脳では、神経入力に起因する矢状断方向に帯状の機能モジュールが存在することや、ある種の蛋白質や糖などが矢状断方向に帯状に限定発現することが知られており、以前から両者の関連性が示唆されてきた。今回、発達期の小脳での帯状遺伝子発現をβ-galactosidase(β-gal)活性のX-gal染色で観察出来るトランスジェニックマウス系統を樹立した。この帯状染色はプルキンエ細胞の特定サブセットに限定されたβ-gal発現に起因し、E17から観察され、P10には消失する(即ちすべてのプルキンエ細胞で発現ONになる)。P0小脳を多孔膜に静置してin vitro器官培養すると、脊髄や下オリーブ核などからの投射がなくなるが、培養開始後10日を過ぎても帯状発現が観察された。培地にK^+(30mM)、tetrodotoxin(1μM)、bicuculline(10μM)を添加しても帯状発現は消失しなかった。P10頃の小脳皮質では顆粒細胞の増殖と細胞移動があり、平行線維とプルキンエ細胞でのシナプス形成も起きる。しかし、顆粒細胞が変性脱落する遺伝性小脳変性症マウスweaverとの交配系統の小脳でも帯状発現はプログラムどうり消失した。今回の解析では、(1)E17までにはβ-gal発現のON細胞とOFF細胞のサブセットが矢状断方向に帯状にプルキンエ細胞層に並ぶことが既に決定されている、(2)P10頃までにすべてON細胞となるシグナル(小脳外から?)が必要である、(3)このOFFからON細胞への転換は単純な電気活動や顆粒細胞からの誘導ではない、ことが示唆された。
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