研究課題/領域番号 |
07279212
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
福井 泰久 東京大学, 農学部, 教授 (00181248)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1995年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 神経突起 / 細胞分化 / 分化因子 / 細胞内情報伝達 |
研究概要 |
MLE15A2細胞の生産する分化因子について検討した。本因子は単独でPC12細胞の神経突起の誘導をした。刺激後、約12時間後から著しい神経突起の伸張が見られたが、この神経突起のgrowth coneにはNGFなどによって誘導されたものと同様にGAP43抗原が存在した。ゲル濾過の挙動から見かけの分子量約80kDで、proteinase K処理に対して感受性で、70℃30分の熱処理で失活した。また、ジチオスレイトールに対しても感受性であった。以上のことから、本因子はタンパク性であると考えられた。生化学的な性質の検討の結果からすでに報告されたPC12細胞を分化させる因子ではないことが示唆されたこので、本因子は未同定の因子であると考え、MDDF(MLE15 cells derived differentiation factor)と名付けた。MDDFによる細胞内情報伝達を調べた結果、既知の因子の多くのものと異なり、タンパク質のチロシンリン酸化の亢進が見られないことがわかった。また、一般的にPC12細胞の分化と深い関係があるとされるMAP kinaseの活性化が著しく弱く短いことがわかった。NGFによるPC12細胞の分化の場合はMAP kinaseの持続的な活性化が必要十分であるとの報告と比べてもMDDFによるPC12細胞の分化は特異的なものといえる。以上のことからMDDFはチロシンキナーゼ型受容体を介さないで細胞を分化させる新規神経成長因子であることが明かとなった。
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