研究課題/領域番号 |
07280204
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
山岸 明彦 東京薬科大学, 生命科学部, 助教授 (50158086)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1995年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | イソプロピルリンゴ酸 / 脱水素酵素 / 高度好熱菌 / Thermus thermophilus / キメラ酵素 / 進化分子工学 / 熱安定性 / 熱変性 |
研究概要 |
1。耐熱性の低い遺伝子を高度好熱菌内に導入発現する系を開発し、耐熱性の上昇した酵素を進化的に得ることに成功した。 高度好熱菌Thermus thermophilusのイソプロピルリンゴ酸脱水素酵素の一部を常温菌(枯草菌)酵素の一部分と入れ替えたキメラ酵素は、好熱菌酵素に比べて耐熱性が低下している。キメラ酵素遺伝子で元々の好熱菌イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素を置き換えた好熱菌は、ロイシンを含まない培地中で高温では生育できなくなった。この酵素遺伝子に変異を起こさせることにより耐熱性のほぼ2倍に上昇したイソプロピルリンゴ酸脱水素酵素を得ることができた。 これは、高度好熱菌における酵素進化的耐熱化の初めての例であり、これまで報告されている中等度好熱菌(Bacillus stearothermophilus:70℃まで生育)のこうした系に比べてスクリーニングの可能温度を10℃以上あげることができた。(論文1) 2。次いで、得られた耐熱性の上昇したキメラ・イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素のX線結晶解析に基づく構造解析を行った。得られた耐熱性上昇酵素の一つでは、イソロイシンがロイシンに置換することによって、側鎖の回転角の異常が解消されることによって耐熱性が上昇していることがわかった。(論文3) 3。上述の進化的方法によって耐熱化したキメラ酵素の他の一つでは好熱菌酵素のまだ採用していない耐熱化変異残基によって耐熱性が上昇していることがわかった。そこでその残基を高度好熱菌イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素に導入することにより、高度好熱菌の酵素をさらに安定化することができた。このことは、常温菌のタンパク質に比べて耐熱性のかなり高い高度好熱菌の酵素といえども一残基の置換によって、まだ耐熱性を上昇させる余地を持っていることを示している。(論文5) キメラ・イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素の熱変性過程をCDおよびDSCを用いて解析した。キメラ酵素は2段階の熱変性を示し、CD、DSCともに二つの過程でほぼ半分ずつの変化が観測された。おそらく本酵素においては、2つのドメインが、2段階の変性過程において別々に変性するものと推定された。(論文4)
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