我々はカルシウム/カルモジュリン依存性蛋白リン酸化酵素(CaMキナーゼIV)の核内局在化機構を調べた。培養細胞COS7に遺伝子導入してCaMキナーゼIV特異的抗体を用いて、細胞内局在をしらべたところ、CaMキナーゼIIが細胞質に局在したのとは対照的に核への局在が認められた。しかしながら、200kDのCaMキナーゼIVとLacZの結合蛋白は細胞質に局在した。このことから、CaMキナーゼIVは拡散によって核へ移行していることが示唆された。一方、CaMキナーゼIV遺伝子の部分産物でありCaMキナーゼIVのカルボキシル末端169アミノ酸と相同性のあるカルスペルミンの細胞内局在を調べたところ、強い核内局在が認められた。このことは、CaMキナーゼIVのカルボキシル末端がCaMキナーゼIVの核内局在に関与していること示唆するが、カルボキシル末端の欠失変異体についても核内局在が認められた。そこで我々はCaMキナーゼIVのアミノ末端も核内局在に関与しているのではないかと仮設を立て、CaMキナーゼIIとCaMキナーゼIVそれぞれに関してAssociationドメインを欠失したミュータントを作成しCOS7に遺伝子導入してエピトープタッギング法によって細胞内局在を調べたところ、CaMキナーゼIIに関しては細胞内全体に局在したのに対して、CaMキナーゼIVに関してやはり核に局在する細胞がみられた。さらにCaMキナーゼIVのアミノ末端欠失変異体を作成し細胞内局在を調べたところ、アミノ末端から132番目のアミノ酸までを欠失させると核への局在は完全に消失した。これらの結果より、CaMキナーゼIVのカルボキシル末端はカルスペルミンの核内局在に必要であり、CaMキナーゼIVの核内局在にはアミノ末端も必要であると考えられる。
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