研究課題/領域番号 |
07301055
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
独語・独文学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
浅井 健二郎 (1996-1997) 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (30092117)
池内 紀 (1995) 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (70083277)
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研究分担者 |
清水 穣 同志社大学, 言語文化教育, 助教授 (10247794)
池田 紘一 九州大学, 文学部, 教授 (10036973)
藤井 啓司 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (60173382)
平野 嘉彦 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (50079109)
松浦 純 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (70107522)
浅井 健二郎 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (30092117)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
11,400千円 (直接経費: 11,400千円)
1997年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1996年度: 4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
1995年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
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キーワード | メディア / 書字文化 / 身体 / 表現媒質 / 翻訳 / 認識構造の変化 / 仮想現実 / 群衆の形成 / 技術 / 比喩 / 擬人法 / 科学以前の認識 / 体系的思考 / 芸術哲学 / 相互作用性 / 活字文化 / 文字の独占的優位 / 新メディア / 活版印刷文化 / コンピューター文化 / 書字の解体 / 大衆文化 / アウラ / 物語 |
研究概要 |
19世紀後半から始まる映画・写真や録音媒体・電子通信などの技術メディアの登場と現代のコンピュータ時代の到来によって、文学・芸術表現の美的・社会的パラダイムは急速に転換しつつある。本研究はそのパラダイム転換を批判的に検証し、同時に主体ではなく表現媒体を考察の中心に据えることで旧来の文学研究の枠組みを相対化しすることを目的として開始された。21回にわたる研究報告と討議を通して、 1.カフカ、ム-ジルなどを例に近代的メディアの時代の書字文化の境位が探られた。音声(ノイズ)、狂気、身体などを文字記号が取り込もうとした過程とその可能性が検討され、文学の側からのその試みとしての具象詩、口承文学の模倣としての「物語」が考察された。 2.現代ドイツのメディア論の立場を評価しつつ、複製技術に基づく言語表現・芸術表現の草創期の批評家W.ベンヤミンのメディア論・言語論・翻訳論を検討し、言語表現の媒介性や表現媒質の密度、逐語訳の可能性、新メディアによる知覚の遅延、群衆の形成などが問題として提出された。 3.言語による認識構造がテクノロジーや科学の発展のもとで変化したことが、Th.マン、G.ベン、R.ム-ジルらの著作活動に基づき考察され、社会転換期の旧東独出身の作家の文学運動も認識の問題として検討された。 4.文学に限らず、歌曲や器楽曲、オペラ、写真、ナルシズム・ピグマリオニズムの問題も、文学表現の隣接領域として芸術表現と表現媒質や仮想現実の観点からその今日性が問われたほか、メディアによる世界の内と外の対比が問題とされた。 本研究はこのように文学表現をメディアの側から考察したが、同時にメディアに対峙する「身体」としての知覚・表現の主体をその考察と切り離すことの不可能性も指摘された。近代的メディアによるパラダイム転換を包括的に考察するならば、今後は身体の側からのアプローチが不可欠であるといえる。
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