研究課題/領域番号 |
07303005
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 総合 |
研究分野 |
経済政策(含経済事情)
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
薛 進軍 一橋大学, 経済研究所, 助教授 (40262399)
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研究分担者 |
りゅ 徳強 (〓 徳強 / りう 徳強) 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (10240417)
牧野 文夫 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (70190337)
本 台進 神戸大学, 大学院・国際協力研究科, 教授 (70138569)
清川 雪彦 一橋大学, 経済研究所, 教授 (60017663)
南 亮進 一橋大学, 経済研究所, 教授 (80017657)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1995年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 所得分布 / 地域格差 / 中国経済 / 日中比較 / 中国 / 所得格差 / 農村と都市 / 労働移動 |
研究概要 |
本研究は、中国と日本における所得格差の実態・背景・影響についての比較研究である。 まず、中国に関しては、1978年改革開放政策が実施されて以来、高度経済成長に伴って所得分布は悪化し、とくに都市・農村間及び沿海・内陸間の所得格差が拡大した。その要因として、1)政府の都市・沿海部を優先発展させる政策、2)農工間の相対的な生産性格差の拡大、3)郷鎮企業の発展の不均衡、などを明らかにした。その結果として、都市・農村格差は農民たちの不満を引き起こし、地域格差は民族矛盾と経済・政治の地域ブロック化を発生させた。したがって、所得不平等は中国の社会・政治の安定に悪影響を及ぼした。つぎに、日本に関しては、戦前期において所得不平等、とくに農村・都市間の格差は非常に大きかった。それは小作争議、社会不安及びファシズムの要因の一つになった。また、戦後において、農村工業の発展が地域の活性化を促し、それが所得の向上に寄与した。 以上の研究結果から以下のような結論を要約できる。1)戦後の日本では、経済民主化(農地改革、財閥解体など)による制度改革と政府の政策(富裕税など)が所得平等化に重要な役割を果たした。現在の中国においても、所得を平等化するために、収入分配制度の改革と政府による特別な施策が必要であろう。2)戦後日本の農村工業の発展は、余剰労働力の吸収と農民収入の増加によって、所得分布の平等化を促進した。中国では農村・都市間及び地域間の格差を縮小するため、郷鎮企業の発展、労働力の自由移動も必要であろう。3)改革以来中国の所得分布が悪化したこと、それが戦前日本の状況と酷似していること、それが社会と政治の不安定性の原因になっていることを明らかにした。したがって、中国には持続的な経済発展と社会・政治の安定を維持するため、所得不平等の問題を解消しなければならないと考えられる。
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