研究分担者 |
石原 浩二 早稲田大学, 理工学部, 教授 (20168248)
澤田 清 新潟大学, 理学部, 教授 (40089850)
石黒 慎一 九州大学, 理学部, 教授 (80111673)
飯田 雅康 奈良女子大学, 理学部, 教授 (00107343)
舟橋 重信 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30022700)
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配分額 *注記 |
9,900千円 (直接経費: 9,900千円)
1997年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
1996年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
1995年度: 4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
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研究概要 |
3年間の研究成果の一部は下記に記した通りである。 1.複核[VO(salenO)]_2(CH_2)_n(n=3,6,10,12)錯体とFe(III)との酸化還元速度に対するメチレン鎖の効果はnの増加に伴って、活性化エンタルピー、活性化エントロピーともに増大し、両者の間に補償効果が見られた。 2.オキソ架橋Ru(III)複核錯体の,(III,II)および(II,II)へのアセトニトリル溶液中での還元電位が,プロトン供与体やBF_3などのルイス酸のオキソ架橋への付加で大きく正側(ca1Vも)にシフトし、プロトン供与体のpKaの違いにより,このシフトや関与する電子数を制御できることが明らかとなった。 3.[M(en)_3]^<3+>,[M(dhxn)_3]^<3+>,[M(phen)_3]^<3+>(M=Co^<III>,Cr^<III>)と各種ミセルとの相互作用を、^<59>CoNMR(Co^<III>)とミセルの^<13>C常磁性緩和(Cr^<III>)により調べた結果、スルフォン酸または硫酸イオンの場合とカルボキシル基の場合とで極性基の違いによるミセルと金属錯体との相互作用の大きさの違いが、選択性の大小に反映されたことがわかった。 4.溶液錯体化学の新しい方法論として、FTラマン分光法による溶液化学への適用の可能性と限界についての報告があった。また、常磁性金属錯体の^2HNMRによるキレート環立体配座の動的溶存状態に関する研究によって、エントロピー変化から溶媒和と立体配座の動的挙動が明らかになる可能性が論じられた。これらの研究に関連して、本研究主題の溶存錯体の動態構造を超分子効果の前駆現象として統一的に把握する方向で、議論した。 5.濃厚電解質溶液における溶媒イオンの協同的相互作用や水溶液における疎水性イオン会合について報告があった。さらに、錯形成に関しては、ミセルへの[CoI_3]の分配平衡や移行の熱力学的パラメーターによる考察やオクチルエチレンジアミンZn(II)錯体のミセル、逆ミセル形成に関する報告があった。これらは溶液の巨視的な情報と微視的な情報の中間に当たるメゾスコピック系での現象として、これからの発展が期待される。
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