研究概要 |
本研究は,林木個体の3次元パフォーマンスに注目することによって,個体間の相互作用によって制御される林木集団(林分)の発達過程を分析した.以下に,本研究が進めた主要課題を中心となったメンバー名とともに列記する. 幹直径・樹高・樹冠体積・葉量といった個体の3次元パフォーマンスを規定する諸サイズ・ディメンション間の機能的関係を明かにするために最低限必要な,2次元サイズ動態モデルを開発し,集団発達のパターンを解析した(原).植物集団の水平パターンの動態分析に,2階層ある2次元格子モデルを導入し,森林のようなサイズ構造のあるシステムの挙動の分析法を開発し,2種系の場合の安定性について解析した(佐藤).システムの挙動におおきな影響を与える加入過程の野外推定について,最少サイズの頻度と平均生長速度に基づく新たな推定法を確立し,野外林木個体群とモデル個体群のデータに基づき有効性を確認した(甲山).実際の非破壊センサス法の確立のために,超小型CCDカメラを用いた樹冠内の葉量密度分布分析システムを用た樹冠の葉量分布の非破壊センサス法を確立した(大沢).時間的なシュート上の展葉パターンの適応的な意義を,シュートの3次元構造との関係でモデル化した(菊沢). 以上の研究を,メンバーに加えて,下記の研究協力者との連携のもとに進めた(横沢正幸・高田壮則・梅木清・倉地奈保子・久保田康裕).また,1995年8月の日本生態学大会(盛岡)で関連するシンポジウム発表をおこない,同学会誌和文誌に紹介のためのレビュー記事を掲載した(1995-1996;佐藤・大沢・菊沢・甲山).
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