研究分担者 |
福西 浩 東北大学, 理学部, 教授 (90099937)
近藤 豊 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 教授 (20110752)
宮原 三郎 九州大学, 理学部, 教授 (70037282)
津田 敏隆 京都大学, 超高層電波研究センター, 教授 (30115886)
廣田 勇 京都大学, 大学院理学研究科, 教授 (70025485)
岩坂 泰信 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 教授 (20022709)
田中 浩 名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 教授 (00115594)
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研究概要 |
本研究の目的は,赤道西太平洋域(南北には日本〜オーストラリアの間,東西にはインドシナ半島〜ハワイ諸島の間に位置する領域)において,ここ数年間に得られた最初の信頼できる観測結果を背景として,中層〜超高層大気における波動攪乱,ならびにこれが惹起する乱流や大循環の作用が,全地球的かつ全高度領域にわたる大気圏のエネルギー・運動量・組成に及ぼすと予想される様々な影響の素過程を,多角的なアプローチのもとに総合的に理解することであった.この領域は,強い太陽放射を最大効率で大気運動エネルギーに変え,同時に大気中の水・オゾンなど重要な微量成分の最大の供給源となっている,言わば'太陽系空間と地球を繋ぐ回廊'であると認識されてきている.本研究では,本研究グループメンバーしか熟知し得ない諸観測結果を,やはり国際的に評価の高い理論的・数値的研究を背景にして,縦横に比較・検討(具体的には次項の研究計画・方法の項に述べる)することによって,先に述べた現状の不十分さを最大限に打開することを試みた. 初(平成7)年度は,既存の研究方法・成果の徹底的な見直し作業を行った.すなわち,既存の赤道域大気に関する各種の知識・研究手段・情報源を整理し,必要に応じてデータベース化を行ってより広範囲な利用を可能とするとともに,これらを利用した各種解析が可能なソフトウェア環境を構築する作業を開始した.具体的には,既存の分野(手法・領域)に立脚した(1)大気波動のレーダー観測,(2)エアロゾル変動のライダー・気球観測,(3)オゾン・微量気体の航空機・地上観測,(4)熱圏・電離圏変動の衛星・地上観測,(5)大気波動・大循環の衛星観測,(6)大気組成変動のモデリング・衛星観測,(7)大気大循環・物質輸送の数値シミュレーション,の7班を組織し,班内の各分担者間における研究連絡・打合せを緊密に行った.その上で1995年12月16日には京都大学超高層電波研究センター(RASC)において,分担者全員(代理出席を含む)による全体会議を行い,赤道域大気圏における分野横断的な視点を抽出・発掘し,複数の班による共同研究の方針を確立するとともに,既存知識・手段によるアプローチの限界をも明らかにした.さらに分担者間や内外の関連研究者との連絡を密にすべく,RASC内のワークステーション上にオープンメイリングリスト“MARIA" (Middle Atmosphere Research Information and Announcement)を設け,全体会議直後から運用を開始し,いながらにして全国規模の討論の場を提供している. 最終(平成8)年度は,前年度に行なった既存の研究方法・成果の徹底的な見直し作業の成果をもとに,2000年前後を目処に推進が決議されている国際計画「EPIC」,「PSMOS」等,次段階の本格的観測プロジェクトに繋がる,新しい研究項目・方法の発掘と集約を行なった.研究作業を進める上でのポイントは,(i)赤道大気上下結合(ii)化学力学結合(iii)大気圏電離圏結合(iv)超分野的集中観測などであった.これらの結果を集約するための会議を行い,その結果をもとに「EPIC」,「PSMOS」等の計画を主題とする報告書を印刷刊行した.
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