研究分担者 |
東 正彦 京都大学, 生態研センター, 教授 (40183917)
巌佐 庸 (巖佐 庸) 九州大学, 理学部, 教授 (70176535)
川崎 廣吉 同志社大学, 工学部, 教授 (10150799)
中島 久男 立命館大学, 理工学部, 教授 (40113112)
山村 則男 京都大学, 生態研センター, 教授 (70124815)
松田 裕之 九州大学, 理学部, 助教授 (70190478)
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研究概要 |
本研究は,現在,地球環境の変化に直面して様々な形で進んでいる生態システムのグローバルな時・空間的変化を,地球環境問題の課題であるシステムの多様性の維持,創出,保全,生態系機能の解明に焦点を当てながら,数理的手法を用いて多角的に行われた.各分担者はそれぞれの研究課題にそって精力的に研究を行い,その成果の多くは国際数理生物学京都会議(1996年6月9-13日開催:委員長重定)で発表された.以下に研究成果の概要をまとめる. 1.環境撹乱によって生成される空き地に侵入する放浪種と優先種の間の競争を拡散増殖方程式を用いて解析し,多種共存のメカニズムを明らかにした.また,分断化されたパッチ状環境での野生生物の存続可能条件をパッチの位置関係と関係づけて求めた(重定,川崎,難波,瀬野,高須). 2.生態系の生物間に働く間接作用効果を数理的な観点から整理した.また,生物のグローバルな多様化プロセスに関して、シロアリを例に研究を行った(中島,東) 3.森林や陸上植物などの空間構造が入った個体群動態を解析する方法を確立する目的で格子モデルを研究した。また、人間活動により生息地の縮小・細分化、環境への化学物質の流出の影響により野外生物集団が絶滅するリスクを評価する方法を研究した。(巌佐) 4.日本近海のマサバ資源の減少について、巻き網漁業とたもすくい網漁業の二つが与えた打撃の大きさを定量的に評価する手法を開発し、マサバ資源のグローバル動態と漁業の関係を明らかにした。また,天然魚集団に人為的種苗添加による資源管理方策について検討した(松田,原田) 5.生物の分布域拡大の過程を確率セル・オートマトンによってモデル化し,拡大速度の近似式を与える方法を提出した.また,異なる2種が出会い雑種個体が産出される交雑帯の巾と持続時間を計算する公式を導いた.(重定,川崎,高須,山村)
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