研究分担者 |
野崎 久義 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (40250104)
岡田 光正 東邦大学, 理学部, 教授 (80057629)
都筑 幹夫 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (70155430)
長船 哲斉 (長舩 哲斉) 日本体育大学, 健康学科, 教授 (70074630)
石川 依久子 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (50074638)
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研究概要 |
形態学班 ピレノイドをもつ葉緑体においては,この部位がRuBisCoの集積部位であることは,近年の研究で明らかにされたが,ある種の緑藻類では葉緑体DNA(葉緑体核)も局在することを初めて示した(堀).生活環の進行にともなうその動態を単細胞緑藻Trebouxiaで追跡したところ,葉緑体分裂にともなうピレノイドの分割にあわせて核様体DNAも分配され,生活環を通じて常にピレノイドとDNAは挙動をともにすることがわかった(宮村).一方,珪藻のNitschia siqmoideadでは,葉緑体中に存在する多数のレンズ形ピレノイドの辺緑をDNAが取り囲む特異な事例を見いだした(石川).この藻類でも他の藻の場合と同様,RuBisCoが局在する.Chlamydomonas reinhardtiiにおいて最近ピレノイドにRuBisCoが存在しないという報告がなされた(Suess et al 1995).これは現在の認識とは相反する重大な異見である.そこで,同一種を使い,追試実験をおこなったところ,それは誤りであることを示した(野崎).Euqlenaでは細胞質で合成されたRuBisCoタンパク分子が,細胞質内のcompartmentalized osmiophilic body構造を経由してプラスチドのプロピレノイド構造に特異的に輸送されることを見いだした.これは,COS構造がRuBisCOの貯蔵に関与していることを示唆している(長船).単細胞紅藻チノリモ目藻をモデルとして,ピレノイドの微細構造の主要分類形質としての再評価を分子系統学的解析とあわせて行なった結果,この藻の外部形態的均質性にもかかわらづ,この藻群が単系統ではないことを明らかにした(原). 生理学班: 上で述べたように、ピレノイドはRuBisCoとDNA(現在はまだ限られた種でのみ知られるだけであるが)が局在する。しかしピレノイドが、これらの物質だけで構成されているとは考えがたい。そこで微量なタンパク質の存在と、種類を同定する技法の検討を行い、ほぼ其れを確立した(岡田)。今後の成果が期待される。5%CO_2条件下で生育させた緑藻Chlamydomonasは、低CO_2条件に移すとピレノイドの直径が1.4-1.6倍増大し、タンパク量も2.5倍増大した。いずれの場合も主成分はがRuBisCoであったが、小サブウニット遺伝子の転写産物量は低CO_2下で低下した。このことから、低CO_2下でピレノイドが発達するとき、RuBisCoの合成が促進されるのではなく、既存のものがピレノイドに集中することが示唆された(都築)。ピレノイド基質の中を貫通するチラコイド膜にクロロフィル、特に光化学系IIの分布することが初めて明らかにされた(中山)。
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