研究課題/領域番号 |
07305061
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 総合 |
研究分野 |
反応・分離工学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
宝沢 光紀 東北大学, 反応化学研究所, 教授 (70005338)
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研究分担者 |
原田 誠 京都大学, 原子エネルギー研究所, 教授 (90027128)
中塩 文行 九州大学, 工学部, 教授 (70037729)
江頭 竜一 東京工業大学, 理工学国際交流センター, 教授 (90213529)
寺本 正明 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (60026086)
羽野 忠 大分大学, 工学部, 教授 (80038067)
古崎 新太郎 東京大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40011209)
駒沢 勲 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (40029476)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1996年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | タンパク質 / 液体膜 / バイオ分離プロセス / マイクロエマルション / 逆ミセル / 抽出 / 抗生物質 / 界面活性剤 / 液膜 |
研究概要 |
本年度の成果内容を下記に示す。 (1)液膜による脱塩法の実用化の観点から乳化液膜を用いた場合の装置形式について検討した。カチオン及びアニオン輸送用の2種類のW/Oエマルションを、互いに接触せずかつ同時に原料相と接触させる必要性があることから、撹拌槽を隔膜(フッ素コーティングを施したステンレス製金網)で仕切る形式が有効であることがわかった。 (2)カチオン交換型抽出剤D2EHPAを用いることにより、セファレキシンの分離回収を安定かつ良好に行えることがわかった。また、セファレキシンとD2EHPAの錯形成反応における量論関係は1:2であることを明らかにすると共に、金属抽出で使われる反応と拡散を考慮に入れた速度式を参考にセファレキシンとセファレキシン-D2EHPA錯体の反応が律速段階となる抽出機構を提案した。 (3)硝酸銀含浸液膜による高度不飽和脂肪酸エステルの分離において、膜内に温度勾配をつけることにより、温度差を駆動力として溶質を汲み上げ輸送することができた。また、新規に作製した種々の親水性膜は水溶液を膜液とする液膜の支持膜として有用であった。 (4)エリスロマイシン(抗生物質)の水相-油相間における分配挙動を明らかにした。支持液膜を透したエリスロマイシンの透過機構を明らかにした。乳化液膜によるエリスロマイシン濃縮における濃縮率の向上法を提案した。 (5)新しく構築した逆ミセル溶液が、高活性なタンパク質の高次構造を認識できる可能性が示された。また、逆ミセル溶液の新しい展開として、タンパク質のリフォルディングの場として有効であることが明らかとなった。 (6)非イオン性界面活性剤を主体とするマイクロエマルションに機能性分子を組み込むと、分子認識に基づく特定タンパク質の選択分離や、酵素の変性を抑えた高機能反応場の構築が可能となることがわかった。 (7)代表的なナノ会合コロイドであるリポソームと変性タンパク質との相互作用では、膜表面の流動性など動的な状態が、変性タンパク質の局所的疎水部位との結合に重要であることを明らかにした。またリポソームは、その膜特性を粒径・表面修飾等で制御することにより、酵素のリフォルディング中に生ずる疎水的な中間体に効果的に作用してシャペロニン機能を発言することが判明した。 (8)ケロシン及びシリコンオイルを有機溶媒とした新規な逆ミセル系を調整し、モデルタンパク質lysozymeの正・逆抽出挙動を検討し、有機相中のAOT濃度及び水相のpHとKCl濃度の影響を明らかにした。また、溶媒としてイソオクタンを用いた回転円盤抽出塔によるlysozymeの連続抽出操作を行い、その安定な操作性を示すと共に、実測した濃度分布を基に混合拡散係数と総括物質移動係数を決定した。 (9)AOT/イソオクタン逆ミセル系によるリゾチームの正・逆抽出速度に及ぼすAOT濃度、温度、アルコール添加など諸因子の影響を明らかにした。また、撹拌槽抽出操作による迅速な濃縮回収結果を示し、実用化への展開の可能性を示唆した。 (10)バイオ分離へのキャリア輸送に基づく液膜分離の適用性を、D2EHPAによるリジン並びにAOT/イソオクタン逆ミセルによるリゾチーム系で検討した。逆抽出速度が経時的に低下し、透過基質が膜液中に蓄積する傾向を認めた。
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