研究分担者 |
前川 光司 北海道大学, 農学部, 助教授 (80002301)
原田 泰志 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (50228657)
西田 睦 福井県立大学, 生物資源学部, 教授 (90136896)
後藤 晃 北海道大学, 水産学部, 助教授 (30111165)
会田 勝美 東京大学, 大学院・農学生命科学研究所, 教授 (50012034)
中野 繁 北海道大学, 農学部, 助手 (50217791)
小川 和夫 東京大学, 大学院・農学生命科学研究所, 助教授 (20092174)
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研究概要 |
次の5つの方向から魚類の通し回遊現象の起源とメカニズム解明に向け研究を進め以下の成果を得た.1.生態学的アプローチ:アメマス,サクラマス,ギンザケ,オショロコマ,ウナギ,カジカ,ヨシノボリ,イトヨリなど回遊型がそれぞれ異なる魚種について生態調査を実施し,成長・移動・繁殖・変態に関する生活史パラメータを明らかにした.また環境変動がこれらの生活史パラメータに及ぼす影響も検討した.2.生理学的アプローチ:サクラマス銀化魚と未熟ヒメマスではテストステロンの投与により降海行動の抑制,遡上行動の促進が誘発され,降海か残留を決める生理機構の一端が明らかになった.またヒメマスにテストステロンを多量投与すると雄ではクイバリングが,雌では穴掘りの行動が誘発される事が判明した.3.寄生虫学的アプローチ:ウナギと共進化した単生類のPseudodactylogyrusをとりあげ,その塩分耐性と寄生率を調べた.本研究の過程で発見された新種と既知の2種のRNA上ITS領域を比較したところ,オーストラリアの新種は日本の既知の2種と相同性が低く,地理的に隔離されたところでウナギと寄生虫が別々に共進化したことが示唆された.4.集団遺伝学的アプローチ:陸封ヒメマスとカムチャッカ産ベニザケの42アイソザイム遺伝子を比較したところ,前者では遺伝的変異がほとんど認められなかったが,後者では2遺伝子座で高度な多型が認められ,陸封により遺伝的多様性の減少した事が示された.アユを含むキュウリウオ類の分子系統樹を推定し,それに基づいて回遊型の進化について検討したところ,両側回遊型の生活史は,この類の中では早く分岐したユニークなものであることが明らかになった.5.数理生態学的アプローチ:通し回遊魚の回遊形質の進化,および回遊戦略と他の形質の相互進化について,数理モデルを用いて検討した.特に,回遊時期やサイズと卵サイズとの相互進化について検討し,種分化との関連を論議した.
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