研究分担者 |
千葉 百子 順天堂大学, 医学部, 助教授 (80095819)
鈴木 和夫 千葉大学, 薬学部, 教授 (90109918)
井上 尚英 九州大学, 医学部, 教授 (00131904)
市川 勇 国立公衆衛生院, 労働衛生部, 室長 (20083751)
石西 伸 中村学園大学, 家政学部, 教授 (80037340)
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研究概要 |
近年各種新素材の原材料として使用されてきた希有元素およびその化合物(Y,La,Ce,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Yb,Ga,In,As,Rh,Sb,InP,InAs,GaAs)の健康影響および微量測定法について、8名の研究者が分担して検討した。ロジウムについては標的臓器が腎とりわけ腎尿細管であること、成熟精子の放出障害性があることが明らかになった。化合物半導体では、InP,InAs,GaAs粒子の気管内投与実験の結果、InPについては1回投与における無悪影響量が求められ、InAs、GaAsについては反復投与の結果、InAsで肺に前がん病変を疑わせる変化が、GaAsで精巣毒性が発現した。As、In、Gaの比較では、ハムスター培養腎細胞に対する毒性、ストレス蛋白の誘導能は、AsがGsおよびInに比べて強かった。希土類元素の気管内投与実験では、投与された希土類はマクロファージの貧食をうけるものの気管支〜肺胞に長期にわたり滞留し、BALの所見からは強い炎症は起きないことが明らかになった。Yについては、肺繊維化を起こす可能性が示唆された。精製ヘム合成諸酵素活性に対しては、希土類はALAD、UROD阻害が強いこと、強さの程度は希土類により異なっていること、由来臓器によって阻害の程度が異なっていることなどが明らかになった。また、希土類元素をマウス静脈投与した実験では、臓器中カルシウムが減少した。メカニズムは不明であり、今後の追求課題である。希土類元素測定については、原子吸光法およびプラズマ-質量分析計で精度良く測定する手法を確立した。以上、今日まで質的にも量的にも不十分であった健康影響の一端を明らかにすることができた。
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