研究課題/領域番号 |
07307019
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 総合 |
研究分野 |
保存治療系歯学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
前田 勝正 九州大学, 歯学部, 教授 (00117243)
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研究分担者 |
西川 博文 明海大学, 歯学部, 教授 (90049388)
小澤 寿子 鶴見大学, 歯学部, 講師 (10139610)
須田 英明 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (00114760)
島内 英俊 大阪大学, 歯学部, 講師 (70187425)
吉田 治志 長崎大学, 歯学部, 講師 (40166963)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
15,900千円 (直接経費: 15,900千円)
1996年度: 5,700千円 (直接経費: 5,700千円)
1995年度: 10,200千円 (直接経費: 10,200千円)
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キーワード | 難治症例 / 歯内療法 / インターロイキン1 / プロスタグランディンE_2 / 水酸化カルシウム / メトロニダゾール / ミプロフロキサシン / ミノサイクリン / 炎症性サイトカイン / 病原性細菌 / ペプチド含有神経 / シアノアクレート系セメント |
研究概要 |
本研究で得られた結果を以下に項目に分けて概説する。 1)難治症例の臨床的分類と診断:難治症例の原因として解剖学的形態異常のため、根管の拡大を困難にしている場合が推測されるが、根管の7.5%にこのような症例が検出された。又難治症例に外科処置を行い根尖部の解剖学的分析を行った結果、その70%に根管側枝や分岐根管が観察され、根尖部における根管の複雑性が難治症例の原因として重要であることが明らかとなった。更に、歯根外表面を観察できるファイバースコープを開発し検索したところ、根面のポスト穿孔などの病変の原因を特定することや治療部位の確認が行えることが明らかとなった。又難治症例には、いくつかのタイプが存在しており、これらを分類するためのフローチャートを考案し的確な治療を行うことが重要であることが示された。2)難治症例の原因究明:難治症例の根管より増菌法により細菌の同定を行ったところ22症例中18症例で細菌(α-StreptococcusやEnterococcusなど14種)が検出された。更に、細菌の検出を高感度に迅速に行うため細菌特異的16SリボソームRNA遺伝子を用いたPCR法の開発を行った。象牙細管へ侵入した細菌が難治症例の原因として重要であると考えられるので、この点についての解析を行ったところ侵入しやすい菌種に差のあることや歯冠側象牙質の方が侵入しやすい事などが明らかとなった。又根管から分離されたP.melaninogenicaは、根尖性歯周炎を有する患者の白血球から高いインターロイキン6の産生を誘導することが明らかとなり病変の進展にこれらの事が関連していることが推測された。更に、ラットを使用した動物実験において感染根管から分離された細菌に中等度以上の炎症を惹起する作用が見られることを確認した。又ラットを用いた動物実験において炎症性サイトカインの1つであるインターロイキン1が骨破壊や根尖性歯周炎の進展に深く関連していることが明らかとなった。根管の浸出液中の炎症メディエーターの1つであるプロスタグランデンE_2の測定を行ったところ疼痛などの急性症状の出現と高濃度のプロスタグランデンE_2の間に関連性があることが明らかとなった。3)難治症例に対する治療法の検討:感染根管に存在する細菌に対してシプロフロキサシン、メトロニダゾールおよびミノサイクリンの合剤が有効であり、効果を上げるには根管のスメヤ-層を除去することが重要であることを明らかにした。又難治性の症例に水酸化カルシウム糊剤や水酸化カルシウムにメトロニダゾール、ミノサイクリンおよびレボフロキサシンを添加した薬剤を根管内に貼薬すると良好な成績が得られた。更に、感染根管治療によって改善が見られない場合には通常根尖部の外科手術を行うが、この時に使用する逆充填材料の検討によると4-METAレジンおよび光重合レジンが優れていることが明らかとなった。
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