研究分担者 |
古澤 佳也 放射線医学総合研究所, 主任研究官 (50260237)
根岸 和雄 岡山大学, 遺伝子実験施設, 助教授 (70116490)
渡辺 正勝 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助教授 (40124226)
檜枝 光太郎 (桧枝 光太郎) 立教大学, 理学部, 教授 (20062656)
石垣 靖人 金沢大学, 薬学部, 助手 (20232275)
二階堂 修 金沢大学, 薬学部, 教授 (60019669)
|
研究概要 |
本研究課題でめざしたのは,太陽光紫外線の生物影響を定量的に把握するために開発されてきた各種のバイオドシメトリーを用いて,野外での比較実験をおこなうことである。地上での太陽光紫外線の波長別強度分布は,気象庁オゾン層解析室によって,国内4地点(および南極)の気象台での観測が続けられている.本課題において,測定準器による札幌と那覇での分光器の較正がおこなわれた(広瀬).スペクトル強度と生物効果線量の関連をもとめるために,1995年8月8-10日および1996年7月18-20日に那覇,1996年6月28-29日に札幌において,5種類の生物および化学的試料を用いて比較実験を実施した.実験に参加したのは,胞子ドシメトリー(宗像),オリゴヌクレオチド線量計(檜枝),DNA損傷の抗体検出系(石垣),DNA酸化損傷および突然変異検出系(根岸),胞子バイオフィルム(古澤)であった.乾燥した試料である胞子ドシメリー,胞子バイオフィルム,オリゴヌクレオチド線量計については,各正時におけるスペクトル強度と作用スペクトルとからの効果の予測値と実測値の比較をおこなうことができた.DNA損傷にたいするモノクローナル抗体による定量系については,個人被曝線量用の太陽光フィルムバッジを作成し,その発色条件,安定性,フィルターの確認をおこなった.酸化損傷の検出系はできなかったが,M13mp2ファージにおける突然変異を解析し,線量に依存した突然変異スペクトルの変化を見い出した.それぞれのバイオドシメターについて,大型スペクトログラフによる詳細な作用スペクトル(渡辺)を得て,物理的スペクトル強度との関連づけを確立した.本研究課題の遂行により,強度スペクトルと各種バイオドシメトリーがはじめて定量的に関係づけられ,太陽光紫外線の生物効果線量の測定法が理論的,技術的に完成された.
|