研究分担者 |
赤松 純平 京都大学, 防災研究所, 助教授 (10027279)
杉戸 真太 岐阜大学, 工学部, 教授 (60115863)
能島 暢呂 広島工業大学, 工学部, 助教授 (20222200)
岩井 哲 京都大学, 防災研究所, 助手 (60184850)
角本 繁 日立製作所, 中央研究所, 主任研究員
濱田 政則 早稲田大学, 理工学部, 教授 (30164916)
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研究概要 |
本研究の成果は次のように要約される。 (1)阪神・淡路大震災における複合都市災害は,防災における物理的課題と社会的課題に加えて,情報課題が防災活動の要として重要であることを示した。このことを端的に表す事例として,筆者らが地理情報システム(GIS)を用いて神戸市長田区役所で行った倒壊家屋の解体撤去に関する災害情報処理の電算化の活動の経験から,その経過を分析して今後の教訓とすべき事項を整理した。情報処理の経過に関するこの活動全体が持つ防災上の意味を改めて検証し,そこから,今後の行政における情報システムのあるべき方向を探り,「リスク対応型地域空間情報システム」の構築を提言した。それは平常時と非常時が連携する情報システムであり,その基盤として時空間管理された行政データを基本とし,非常時には部署を貫いて相互参照できる仕組みである。 (2)西宮市域を対象に,震災に関する多様なデータを収集し,GIS上に展開した。都市施設の被害とそれによる都市機能への影響,ならびに緊急応答活動への影響に関する多元的な分析を進めた。本研究では,災害現象の多重分析を行うとともに,工学的視点と地理学的視点を合わせた横断的な考察を行い,ライフラインの耐震性強化・防災都市の開発などに有用な資料を提供することを最終的に目指した。災害情報処理のツールとしてのGISの活用法とデータベース構築の要点を明らかにした。 (3)1996年中国雲南省麗江地震(M7.0)による麗江盆地の被害分布と盆地地質構造の関係を把握するために,盆地の基盤岩構造を脈動観測により調査した。盆地境界の基盤岩の急峻な沈降が地震動の増幅に関与している。防災GISの構築のために,震災の被害例の検証と想定地震による被害予測の枠組みの分析を行い,マイクロゾーニングに関わる基盤構造の研究には脈動や重力などの地球物理学的資料が有効に利用できることを示した。
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