研究課題/領域番号 |
07308065
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 総合 |
研究分野 |
環境保全
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
河野 昭一 京都大学, 大学院理学研究科, 教授 (30019244)
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研究分担者 |
横畑 泰志 富山大学, 教育学部, 助教授 (60222387)
加藤 輝隆 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (80115162)
二井 一禎 京都大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (50165445)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
1996年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
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キーワード | 大気汚染 / 樹木可視被害 / 年輪肥大成長 / 年輪年代学 / 標準化年輪指数 / マツ材線虫病 / マツ材線中病 / スギ / クロマツ / 年輪解析 / 大気環境 / 日本海域 / 活力度調査 / 生物指標 / モニターリング |
研究概要 |
1.火力発電所周辺地域における樹木の活力衰退に関する現地調査 平成6年度に引き続き、福井県芦原町内の20地区(火力発電所からの距離は5-11km)に生育する約1、100本の樹木について可視被害を調査した。この2年間では顕著な変化は見られないが、1974年以来、同地域で続けてきた調査結果を踏まえて長期間にわたる推移を見ると、スギ、スギ以外の針葉樹(クロマツ、アカマツ、ヒノキなど)、落葉広葉樹(ケヤキ、ソメイヨシノ、ヤマモミジなど)、および常緑広葉樹(スダジイ、タブノキなど)のいずれの樹種群においても活力の著しい低下が認められている。初期の頃には火力発電所に由来する大気汚染物質の影響と推定される可視被害は、スギ以外の樹木にはほとんど認められなかったが、1970年代の末よりスギ以外の樹木にも可視被害が及び、年とともに樹勢の衰退が進行し、現在ではまったく健全な状態の樹木はほとんど皆無といってよい。 2.富山県内の大気汚染状況とスギの肥大成長に関する年輪年代学的研究 富山県内の2市3町でスギの切り株から採取した約60本のコアサンプルについて年齢幅測定解析装置(LINTAB-TSAP)を用いて肥大成長のパターンを解析し、大気汚染がスギの成長に及ぼす影響について検討した。その結果、1960年代後半-1970年代前半に明らかな成長阻害が認められた。なお、樹齢や気象の影響を補正した年輪幅の指標(標準化年輪指数)と富山県内における硫黄酸化物排出量との間には強い負の相関が示された。 3.マツ材線虫病(いわゆるマツ枯れ)と大気汚染の因果関係の解析 マツ材線虫病(いわゆるマツ枯れ)は日本各地のマツ林に壊滅的な打撃を与えている。この病気の発病・進展に酸性雨や大気汚染などの環境条件がどのように作用しているのかを解明するため、京都大学演習林上賀茂試験地と京都御苑内でマツ枯れにより枯死した固体を対象に成長解析を行った。その結果、(1) 100年生前後の個体の年輪成長は大気中にSOxが高濃度に排出されていた時期に明瞭な減少を示したが、(2)マツ枯れによる枯死はむしろ、このようなストレスから開放され、成長回復を見せた時期に急激に発生していることが明らかになった。
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