研究課題/領域番号 |
07403001
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
財政学・金融論
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
橘木 俊詔 (橘木 俊昭) 京都大学, 経済研究所, 教授 (70112000)
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研究分担者 |
照山 博司 京都大学, 経済研究所, 助教授 (30227532)
森棟 公夫 京都大学, 経済研究所, 教授 (20109078)
有賀 健 京都大学, 経済研究所, 教授 (60159506)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
20,100千円 (直接経費: 20,100千円)
1996年度: 5,800千円 (直接経費: 5,800千円)
1995年度: 14,300千円 (直接経費: 14,300千円)
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キーワード | 株式持合 / コ-ポレート・ガバナンス / メイン・バンク制 / 経営不振と銀行 / 円・ドル交換比率 / 貨幣需要 / バブル経済 / 資産価格決定論 / 現代景気循環論 |
研究概要 |
本研究の目的は、資本市場と景気循環の関係を理論的・実証的に分析することであった。わが国における金融・資本市場の実証的解明と共に、それを説明する理論的背景についても、有意義な結果が得られたといえる。以下、その結果をまとめてみよう。 第1に、わが国の資本市場の1つの特色である株式持合については、企業経営政策上生産性を高めるために貢献することが多く、従って合理的な側面もあったが、わが国の企業経営を不透明にしている側面も否定できない。特に、株式の収益率が持合によって低められていた可能性が高く、資本の収益という点からすると、株式持合の比率の見直しが予想される。 第2に、金融機関の株式持合比率の高いことが、金融機関のコ-ポレート・ガバナンスにどのような影響があったのかを調べてみると、金融機関の経営を監視する主体がいないことがわかり、金融機関の経営が不透明、かつ非効率であったことがわかった。 第3に、わが国資本市場のもう1つの特色であるメイン・バンク制度に注目してみると、確かにメイン・バンクを持っている企業が経営不振になる確率は低いが、それは必ずしもメイン・バンクを持っている理由だけでは説明できない。ただし、経営不振の企業を救済するのはメイン・バンクのことが多く、しかも救済の成功する確率も高いことがわかった。 第4に、わが国のメイン・バンク制度を説明する理論として、「保険原理」があるが、その理論だけでメイン・バンク制度を説明するのは不十分である。むしろ、メイン・バンクと企業の関係は、両者が再交渉の可能性を含めた契約理論で説明されると言うのが、ここでの結論である。ここではゲーム理論の最新の成果が用いられている。 第5に、資本市場の果たす役割、特に流動性効果に注目すると次のことがわかった。すなわち、円・ドル交換比率の決定に関して評価してみると、特に先物比率の決定に効果のあることがわかった。アメリカには流動性効果がなく、日米異なる結果が得られた。 第6に、わが国の貨幣需要を時系列分析の手法を用いて分析してみると、次のことがわかった。すなわち、単位根や共和分のテストを行ってみると、推定法方によって結果の異なることがわかった。この研究は統計分析上の問題に力点がおかれているので、資本市場そのものの評価には直接関係ないが、有益な研究であることは間違いない。
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