配分額 *注記 |
34,800千円 (直接経費: 34,800千円)
1997年度: 4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
1996年度: 9,100千円 (直接経費: 9,100千円)
1995年度: 21,600千円 (直接経費: 21,600千円)
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研究概要 |
本研究は,カルコゲン原子を複数個空間に配列した化合物群を用い,一電子酸化剤によるスルフィドの酸化反応やモノオキシドの(CF_3SO_2)_2Oや濃硫酸との反応により,2中心2電子結合のジカルコゲナジカチオン[2c-2e]や,3中心4電子結合[3c-4e]を持つ高配位型ジカチオンの合成を行った.[2c-2e]型ジカチオンの内カルコゲン上の置換基がアルキル,ベンジル等ではジカチオンが極めて活性で,ジカチオン自身が確認できない場合と,低温下の^1H-,^<13>C-NMR等により存在が確認できる場合があり,いずれのジカチオンよりも脱アルキルが容易に進行し,溶媒のアセトニトリルに捕捉されたN-アルキル酢酸アミドと共にチアスルホニウム塩が高収率で得られた.この反応はジカチオン生成後SN1型機構でC-S結合が切れる反応機構が妥当であることが判った.別にナフト[1,8-de]-1,3-ジチインを用い,酸化やS-イミノ化,S-イリド化後光照射を行うと,S-S間の相互作用による分子の活性化が認められ,ケトン,イミン,オレフィン等が定量的に得られる反応を見出した.[3c-4e]型高配位ジカチオンとしては,ベンゼンの2,6位にメチルチオメチル基等を有する1-フェニルテルリドの酸化反応によりテルランが容易に得られた.また閉環機構を持つ化合物でもNOBF_4のような一電子酸化剤により,3つのセレンや硫黄原子間に結合が生成し,中心のカルコゲンは高配位スルフラン(又はセレヌラン)となることを見出した.これらの3c-4e型ジカチオンは還元反応で元のトリススルフィド(又はセレニド)になり,その際,コンホメーション変化を伴う分子ヒステリシスを示すことを見出した.これらのジカチオンは安定であり単離可能で,X線結晶構造解析を行った.またab initio分子軌道計算法により,ジカチオン中の各原子の電荷分布を求め,化学反応との相関関係を明らかにした.
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