配分額 *注記 |
37,700千円 (直接経費: 37,700千円)
1997年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
1996年度: 9,800千円 (直接経費: 9,800千円)
1995年度: 24,100千円 (直接経費: 24,100千円)
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研究概要 |
本年度の研究では,格子欠損型や不完全立方体型といった構造特異的な反応場を有する酸化物クラスター骨格の構築を行った.また、電子スプレー質量分析法(Electrospray Mass Spectrometry=ESMS)を利用してクラスター骨格構造構築のメカニズム,その骨格構造に基づいた特異な反応を明らかにした. 研究対象となったクラスターは,不完全二重立方体型[(Cp*Rh)_2Mo_3O_9(OMe)_4](1);ダブルブックシェルフ型[NBu^n_4]_2[(Cp*Rh)_2Mo_6O_<20>(OMe)_2](2)(Cp*=η^5-C_5Me_5)といった低原子価,高原子価金属イオンを同一分子内に空間的に配列したタイプであり,それぞれの合理的かつ簡便な合成法を見出した.クラスター1と2は[Cp*Rhμ-Cl)Cl]_2および[NBu^n_4]_2[Mo_2O_7]を出発ユニットとして,それぞれメタノール中,モル比1:2および1:4で反応させることにより高収率で得ることが出来る.ESMSによりその生成メカニズムを明らかにした. クラスター2の持つ複数の反応活性な溝構造(defect structure)に注目し,有機金属フラグメント(求電子剤),オキソメタレート(求核剤)との反応を行った.その結果,2→1,2→[(Cp*Rh)_4Mo_4O_<16>](トリプルキュバン型)といった極めてユニークな骨格変換反応を見いだし,さらに,クラスター2がアンフォテリックな反応性を示すことを見出した.この特異な反応性は,クラスター2が持つ性質の異なった2種のdefect structure,すなわち,塩基性の高い架橋酸素原子に囲まれた"small defect"およびRh(III)中心が存在する"large defect"に起因することを明らかにした. クラスター1と2の骨格構築のメカニズムおよびそれらの反応性を明らかにする上で,ESMSが非常に有効かつ強力な手法であることを明らかにした.
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