| 研究概要 |
レーザ発振,波長可変などを担うトレースエレメントとして希土類および遷移金属イオンがある。トレースエレメントの光学特性および原子価はマトリックスであるガラス組成に依存する。本研究では,トレースエレメント含有ガラスの光学特性の組成依存性の測定結果を基に,マトリックス効果を利用したガラスレーザのための最適ガラス組成選択について検討した結果,以下の成果を得た。
1.希土類イオン含有ケイ酸塩,ホウ酸塩,リン酸塩ガラスの特定発光遷移における自然放出確率をJudd-Ofelt理論により算出した結果,
(1)Nd^3の^3F_<3/2>→^4I_<11/2>遷移,Dy^<3+>の^6F_<11/2>→^6H_<15/2>遷移,Er^<3+>の^4S_<3/2>→I_<15/2>遷移,およびYb^<3+>の^2F_<5/2>→^2F_<7/2>遷移においてのみガラスレーザ発振の可能性があることを見出した。
(2)国有値<||U^<(2)>||>^2が実効値を示す上記Dy^<3+>およぴYb^<3+>については,K_2O-Ga_2O-Ta_2O_5系ガラスのマトリックス効果によりレーザ発振の可能性を高めることに成功した。
2.酸化物ガラスにおけるCuおよびCrイオンの原子価の組成依存性について調べた結果,
(1)Cu^+含有波長可変ガラスレーザのマトリックスとして,Cu^+を安定化させるマトリックス効果のあるアルミナを含有した10Na_2O・8OB_2O_3・10Al_2O_3ガラスが適していると結論された。
(2)Cr^<4+>含有波長可変ガラスレーザのマトリックスとして,マトリックス固有の電子欠陥によりCr^<4+>を安定化することが可能であるAl_2O_3およびGa_2O_3を主体とするガラス系が適していると結論された。
3.Ce^<3+>イオン含有誌紫外域ガラスレーザーのマトリックスとして,紫外透過能に優れたAlF_3を主体としたフッ化物系ガラスが適していると結論された。
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