研究課題/領域番号 |
07406003
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
植物保護
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
正野 俊夫 筑波大学, 農林学系, 教授 (80011922)
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研究分担者 |
永田 啓一 筑波大学, 農林学系, 講師 (40282321)
DEMAR Taylor 筑波大学, 生物資源学類, 外国人教師 (50261772)
本田 洋 筑波大学, 農林学系, 助教授 (90126160)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
34,200千円 (直接経費: 34,200千円)
1996年度: 12,200千円 (直接経費: 12,200千円)
1995年度: 22,000千円 (直接経費: 22,000千円)
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キーワード | イエバエ / ネッタイイエカ / 殺虫剤抵抗性 / 解毒酵素 / 抵抗性遺伝子 / 分子遺伝学 / トランスポゾン / 形質転換 / 交差抵抗性 / 有機リン剤 / ピラクロホス / 代謝 / 遺伝的解析 |
研究概要 |
第3夢の島系統のイエバエとネッタイイエカを各種殺虫剤で淘汰して作出した抵抗性系統と感受性系統を用いて、有機リン剤pyraclofos、profenofos、permethrin、及び幼若ホルモン様物質であるpyryiproxyfenに対する抵抗性機構の解明と遺伝様式の解析を行うと共に、それら遺伝子を各種昆虫に導入するための形質転移用遺伝子の探索を行い以下の成果を得た。 イエバエのpyraclofos抵抗性にはAChEの低感受性化とP450酸化酵素の活性増大が抵抗性機構の主要因であることが判明し、またprofenofos抵抗性では薬物の一次代謝酵素のP450酸化酵素、エステラーゼあるいはグルタチオン転移酵素が関与しており、さらに二次代謝ではグルコース転移酵素による抱合も抵抗性に関与することが示唆された。可視突然変異形質を用いた連鎖群を解析の結果、pyraclofos抵抗性は不完全優性で、この抵抗性には第2染色体上のAChE感受性低下に関与する遺伝子、また第5染色体上のP450活性の上昇に関する遺伝子が機能していた。イエバエのpyriproxyfen抵抗性にはP450酸化酵素の量的増加と質的変化が深く係わっており、抵抗性は不完全優勢で、その主要遺伝子は第2染色体染色体上にあった。またこのP450酸化酵素の部分精製にも成功した。イエバエのAChEのアミノ酸配列を解析し、薬剤抵抗性とAChEの性状変化との関係を分子遺伝学的手法を用いて究明した結果、ショウジョウバエのAChE配列と96%の相同性を示す369bp、123アミノ酸残基と76bp、228アミノ酸残基をコードするCDNA断片の配列を明らかにした。ネッタイイエカのpermethrin抵抗性にはP450酸化酵素による解毒代謝が主な機構であり、同酵素の遺伝子を分子遺伝学的に解析した結果、第6族のP450遺伝子と高い相同性があった。昆虫の形質転換技術の開発に必要な転移因子、トラスポゾンの探索のために、イエバエゲノムにおいてDNA断片をPCR増幅した。得られたDNA断片はゲノム内の散在的反復配列であり、mariner様因子であった。この因子はプライマーの結合部位は他の昆虫のmariner様因子のアミノ酸配列と同一であったが、それ以外では相同性は低く、また、marinerとはITR部分以外の塩基配列には高い相同性はなかった。したがって、イエバエに現存するmariner様因子は機能していないので、同因子が形質転換ベクター等の分子生物学的な道具として利用が可能であることが示唆された。
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