研究課題/領域番号 |
07408025
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経化学・神経薬理学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
井原 康夫 東京大学, 医学部, 教授 (60114386)
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研究分担者 |
岩坪 威 東京大学, 薬学部, 助教授 (50223409)
山崎 恒夫 東京大学, 医学部, 助手 (80200658)
森島 真帆 東京大学, 医学部, 助手 (50204722)
柳澤 勝彦 国立中部病院, 長寿医療研究センター・痴呆疾患研究部, 部長 (10230260)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
38,000千円 (直接経費: 38,000千円)
1996年度: 10,200千円 (直接経費: 10,200千円)
1995年度: 27,800千円 (直接経費: 27,800千円)
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キーワード | アルツハイマー病 / β蛋白 / 老人斑 / アミロイドβ蛋白 / 髄膜 / 定量 / β-amylodogenesis / diffuse plaque / preamyloid / GM1ガングリオシド |
研究概要 |
アルツハイマー病(Alzheimer's Disease;AD)の初期病変である老人斑に蓄積する蛋白質としてβ蛋白(Aβ)が同定されており、何故Aβが蓄積するかがADの病因の解明につながると考えられている。Aβに対するモノクローナル抗体を用いたサンドイッチEIAによって微量のAβ40とAβ42の測定が可能となり一般剖検脳の検討を始めた。この検討を体系的にするにあたって髄膜の検討から入った。それは髄膜画分には髄膜血管が含まれ、血管はアミロイド沈着の好発部位であることが知られていること、また脳実質から髄膜・髄膜血管を完全に除去することは困難であるが、髄膜は脳実質の混入を防ぐことが可能であるからである。まず髄膜の特性を検討した。後頭極の髄膜を採取し、ホモジナイズして可溶性画分のAβの定量をした。その結果、1)Aβは50から70歳にかけて急激に蓄積が進行する。2)この生化学的蓄積は、免疫組織化学で検出される老人斑の出現に先行する。3)Aβ42の方がAβ40より数倍以上高値を示す。これに対応してAβ42のみが陽性の時期が存在する。3)AD患者と一般老人ではAβ42の量は同程度だが、Aβ40の量がADで非常に高値である。この結果を得た後に、海馬CA1と後頭側頭回のAβ量を検討した。海馬CA1は神経原線維変化好発部位であるが、老人斑は非常に出現しにくい部位である。それに対して後頭側頭回は老人斑が最も早期に出現する部位と考えられている。脳実質は髄膜と異なり、Aβはほとんどが不溶性画分に回収された。この不溶性画分について上記の髄膜と同様の結果が得られた。以上よりAβ蓄積については髄膜と脳実質の間で溶解度に差があるが、どちらも50から70歳にかけて急激なAβ、特にAβ42、の代謝異常が起こる。その機序としては、理論的にはAβの産生の増加、Aβのクリアランスの低下の二つの可能性が考えられるが、一般的にはクリアランスの低下の方が考えやすいと思われる。
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