研究課題/領域番号 |
07451011
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
美学(含芸術諸学)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
田中 英道 東北大学, 文学部, 教授 (80000397)
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研究分担者 |
松尾 大 東北大学, 文学部, 助教授 (00119364)
野家 啓一 東北大学, 文学部, 教授 (40103220)
松本 宣郎 東北大学, 文学部, 教授 (60011368)
吉田 忠 東北大学, 東北アジア研究センター, 教授 (60004058)
岩田 靖夫 東北大学, 文学部, 教授 (30000574)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
1996年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1995年度: 4,700千円 (直接経費: 4,700千円)
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キーワード | 形象 / 美意識 / 形式 / 内容 / 遠近法 / 個性 / 芸術 / 作品 / 身体 / 気龍生動 / 様式 / イデア(エイドス) / 気説生動 / イデア / ゲシュタルト心理学 |
研究概要 |
「形」formeという言葉はプラトンの「エイドス」からはじまり、「見る」ということを基本とした思想史上でも核をなす概念である。これについては野家啓一氏が科学哲学の立場から、西田幾太郎の晩年の科学への考察を検討し、そこに「絶対矛盾の自己同一の」概念が近代科学の「形」としての物質の変化とその関係に生かされるという指摘がなされた。又、松尾大氏は「形式」という意味での形を重視し、「形式と内容」がどのように弁別されるか。具体的な文章によってその実態をさぐっている。又、松本宣郎氏が古代ローマにおけるキリスト教の形成が「形」という視点から、信仰の形が「教会」「布教」などがどのように定まっていくかが検討された。このように「形」という概念から哲学、美学、歴史の中でどのような状況を把握できるか、一つの成果が生まれている。田中英道は「形象」がマルロ-、メルロ-・ポンティというフランスの文学者たちによって美術の解釈をめぐって注目すべき論争が行なわれていることを指摘し、そこに「美意識」が共通の前提として存在し、「形」が「美術」においては「美意識」によって支えられ、芸術として論じられることを述べている。メルロ-・ポンティはマルロ-の美術における「聖性」の観念性を指摘しているが、マルロ-はその観念性-神観念に通じる-が現代において喪失しているという認識によって、美術の「形」の中にそれを求めようとしているのである。常にmise en question、疑義を問うことによって、精神の連続性を保つことがマルロ-にとっては重要なことであった。メルロ-・ポンティは「形」の自立性はすでに「古典主義」時代(これはかなり曖昧な指摘)からすでに存在し、マルロ-の言うような現代だけではないと述べている。「遠近法」の問題といい、「個性」の表現といい、基本的には絵画が成立したときから一貫したものをもっているという指摘は卓見といえる。この研究成果は1997年11月における「マルロ-の美術哲学シンポジウム」で発表された。
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