研究課題/領域番号 |
07452001
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
基礎法学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
六本 佳平 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (70009827)
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研究分担者 |
尾崎 一郎 北海道大学, 法学部, 助教授 (00233510)
太田 勝造 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (40152136)
柏木 昇 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (20251431)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
1996年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1995年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
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キーワード | 司法統計 / 法文化 / 法使用行動 / 民事訴訟 / 比較分析 |
研究概要 |
この研究では、近年の日本の民事訴訟事件数の飛躍的増加が果たして法文化の質的な変化を意味するものであるかという比較法文化論的な問題意識から、実態調査を計画した。実態調査は、東京地裁および同管区内のふたつの簡裁をとり、そこで受理された民事通常訴訟第一審事件のうち大部分を占める金銭を目的とする訴えを中心に代表サンプルをとり、事件記録の閲覧によって事件の内容および処理態様にどのような特徴が見られ、近年の件数増加と関連してどのような変化がみられるかを調べた。そのため、訴訟事件数が近年の極小値を示した1990年、および再激増の途上に位置する1993年をとった。 合計481件の事件記録調査によって、近年の事件の内容及び処理態様について57項目にわたる興味深いデータが得られた。この全データをパソコン・ソフトMicrosft Excelで入力し、クリーニングの上利用可能な状態にした。 これらのデータを統計的に分析した結果として得られた基本的な知見の要点は、つぎのようにまとめられる。(1)簡裁の事件増加は、主として消費者金融の債権回収事件によるものであること、(2)消費者金融事件は、近隣の個人的色彩の比較的強いものから、カード契約による広域的・非特定個人的なものへと比重を移していること、(3)簡裁事件の処理においては、弁護士でなく、原告金融会社の専門担当社員が特別許可代理人として関与する場合が大多数を占めていること、(4)簡裁の事件処理においては、事件数増加への対応として和解または取り下げによる終局の増加がみられ、他方地裁ではむしろ容認判決の比重が高まり、ある意味で簡裁化の傾向が見られること、(5)以上から、近年の動向は、国民の日常的な法生活の内部における法文化の変化、弁護士役務の浸透を直接に示すものとは言えないこと。
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