研究概要 |
研究代表者藤本が複素解析学における値分布論の極小曲面論への応用に取り組むと共に,微分幾何学,関数方程式,数理物理学,確率論,整数論,代数幾何学等の諸分野の研究協力者が,互いに情報を交換し,他大学の研究者との交流も蜜にして研究を進め,それぞれ,各分野において多大の成果をおさめた. 藤本は,ベッケンバッハが3次元空間内の極小曲面に対して得た値分布論を,放物型リーマン面をパラメーター空間とする高次元空間内の極小曲面の場合に拡張した.児玉は,実リー群が正則自己同型群として作用している様な複素多様体が双曲的になる為の条件を考察し,新しい結果を得た.泊は,2次元正規特異点の幾何種数及び例外集合の特異点に対する重複度の研究に取り組み,重要な例を発見した.古田は,中心拡大に於ける分岐の状況やレオポルド予想について考察を進めた.森下は等質空間の玉川数を与える公式を完成させると共に、種数2のタイヒミュラー・モジュラー群の非トレリ型の部分群の系列を得た.早川は,3次元ターミナル特異点の重み付きブロ-アップの重要な例を数多く構成した.一瀬は,或種の虚数時間シュレ-ジンガー方程式の解の経路積分表示を確立した.田村は,統計力学の格子スピンモデルに対するランダム・ウオ-ク表示を改良して、臨海温度の新しい評価を得た.石本は,ジェームズ・ホワイトヘッドの定理を,ハンドル体の境界として得られる多様体の場合へ拡張することを考え,一定の進歩を得た.岩瀬は,4次元多様体の切り貼り構成について研究した.中尾は,セミマルチンゲ-ルでない確率過程の積分について,見本路の変動量に対する平均量の性質を用いて,更なる研究を進めた.高信は,無限次元複素ウィーナー空間上のブラウン運動も道について,有限次元では見られないひとつの面白い性質を見つけた.林田は,非適切なコ-シ-問題の解の評価を非線形の場合に拡張する問題に取り組み,新しい方法を見つけた.また,小俣は,離散的勾配流を用いて,新しい数値解析法を見いだすと共に,双曲型方程式の自由境界問題に対し,1次元の場合の解の構成と数値計算法を開発した.
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