研究分担者 |
岩崎 克則 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (00176538)
松本 幸夫 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (20011637)
楠岡 成雄 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (08640254)
落合 卓四郎 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (90028241)
堤 誉志雄 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (10180027)
楠岡 成雄 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (00114463)
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研究概要 |
今回の研究では,以下のような成果を上げることができた. 1.空間1次元の非線形放物型方程式が定める無限次元力学系の構造を調べ,その大域アトラクターが有限次元多様体の構造をもつことを示した.この結果は,解の長時間的挙動が常微分方程式の有限系で本質的に記述できることを示唆しており,定性的理論の観点から重要である.なお,アトラクターの有限次元性については1980年代半ばから盛んになった慣性多様体の理論がよく知られているが,同理論が適用できる方程式のクラスは限られており,本研究で扱った方程式には使えないことを付記しておく. 2.退化した拡散方程式の解の挙動を研究し,不安定平衡解の不安定多様体のハウスドルフ次元が常に無限大であることを明らかにした.この結果は,退化した方程式が定める力学系の構造と非退化方程式が定めるそれの間に本質的な違いがあることを示すものであり,興味深い.現在,俣野は空間周期的な係数を持つ非線形拡散方程式の進行波の性質の解明に取り組んでおり,部分的な成果が得られている. 3.マクスウェル方程式とシュレディンガー方程式を組み合わせた数理モデルを研究し,解の一意性や大域的存在について新しい結果が得られた. 4.分担者の楠岡は,確率論の立場から数理ファイナンスの問題を研究しており,一定の成果を得た.数理ファイナンスの分野には,興味深くかつ解析のきわめて難しい偏微分方程式が現れるが,その詳しい研究は今後の検討課題である.
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