研究課題/領域番号 |
07454063
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
固体物性Ⅰ(光物性・半導体・誘電体)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
中村 新男 名古屋大学, 理工科学総合研究センター, 教授 (50159068)
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研究分担者 |
市田 正夫 名古屋大学, 理工科学総合研究センター, 助手 (30260590)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
1996年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1995年度: 7,600千円 (直接経費: 7,600千円)
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キーワード | 3d遷移金属酸化物 / フェムト秒ポンプ・プローブ分光 / フォトド-ピング効果 / 強磁性・常磁性転移 / フェムト秒分光 / 遷移金属酸化物 / 電荷移動遷移 / モット絶縁体 |
研究概要 |
本研究は、3d遷移金属酸化物を対象にして、フェムト秒パルス光のフォトド-ピングによる電子状態の変化および光励起状態の緩和ダイナミクスを調べ、緩和に関与するフォノン、マグノンとの相互作用の大きさ、強磁性-常磁性相転移に伴った緩和ダイナミクスの変化を明らかにすることを目的として行われた。 1)CuO_2面の光励起に伴った電子状態の緩和ダイナミクスに関する研究: 化学的ド-ピングを行っていないYBaCuO、NdCuO薄膜の場合、レーザー光による電荷移動励起の結果生じる光吸収スペクトルの変化は、光によるキャリアのド-ピングとして解釈できることが分かった。さらに、この変化は約1ps以内に完了する非常に速いことが実験的に初めて明らかになり、このような速い緩和は電子格子相互作用ばかりではなくマグノンとの強い相互作用によることが分かった。これは、電荷と磁気的素励起との相互作用が重要となる系に特有の緩和過程であることを明らかにすることが出来た。 2)3d遷移金属酸化物薄膜の作製: レーザーアブレーション法を用いて遷移金属酸化物の薄膜を作製したところ、その配向特性は基板温度に強く依存するが、それぞれの物質に対して最適な基板温度の条件を見つけるならば、ほぼすべてのペロブスカイト型3d遷移金属酸化物の薄膜を作製できることが分かった。 3)磁気転移と光スペクトル、緩和ダイナミクスの相関: R_<0.6>Sr_<0.4>MnO_3(R=La、Nd、Sm)の薄膜の吸収スペクトルの測定とフォトド-ピング効果の研究を行った。その結果、egバンド間の光学遷移のスペクトル強度は磁化の大きさに二乗に依存して変化することがわかった。常磁性-強磁性転移に伴って吸収スペクトルが変することを利用して、フェムト秒バルスで誘起する磁気転移とそのダイナミクスを調べたところ、バルス光励起によって強磁性相中に常磁性相のドメインが約200psの時間で生成され、およそ100nsの時間でそのドメインが消滅して強磁性相に回復することが初めて明らかになった。この研究から、電荷・スピン・軌道と複合系のスピンダイナミクス、磁気転移ダイナミクスを解明する道が拓かれた。
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