研究課題/領域番号 |
07454068
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
固体物性Ⅰ(光物性・半導体・誘電体)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
佐藤 清隆 広島大学, 生物生産学部, 教授 (80034479)
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研究分担者 |
矢野 淳子 広島大学, 生物生産学部, 助手 (10253121)
上野 聡 広島大学, 生物生産学部, 講師 (50243605)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
800千円 (直接経費: 800千円)
1996年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | タンパク質 / 結晶成長 / 分子会合 / 動的光散乱 / 動的先錯乱 |
研究概要 |
一般に、タンパク質の結晶化速度は小分子に比べて小さい。そのために従来の実験は目視観察による結晶発生の確認か結晶化に伴う溶質量の減少すなわちタンパク質の濃度変化でとらえられていた。しかしながら前者の方法では検知可能な結晶サイズに限界があり、また溶質濃度変化に基づく方法では核形成と結晶成長を分離することができない。この難点を克服する試みとして、クロスニコル法による結晶化速度測定と動的光散乱法による分子会合を併用して、タンパク質の誘導結晶化現象を観察した。対象としたタンパク質は、前者が卵白リゾチーム、後者がタカアミラーゼである。 クロスニコル法により、卵白リゾチームの結晶化待ち時間を様々な結晶誘導条件のもとで測定し、純粋溶液条件における核形成の待ち時間か、結晶核の界面エネルギー(γ)を求めた。その結果、ハンギングドロップ法、ならびにシッテイングドロップ法のいずれにも共通な合理的な値をえることができた(γ=0.3erg/cm^2)。タカアミラーゼを用いた動的光散乱法による分子会合現象として、以下の結果が得られた。拡散係数と平均粒径の経時変化において、特定時間に劇的な変化が生じることが観察された。これはタカアミラーゼの濃度がこの時点の溶液中で著しく増加したことを示している。この時、溶液中で巨大な分子会合が生じ、それが沈降していく際にレーザー光によって散乱光を発したと考察した。それまで弱い散乱光を発していた粒子はタンパク質のクラスターであり、時間によって粒子の慣性半径の平均値が異なるのは、ある時間におけるタンパク質分子の会合の度合に差があるためである。ある特定時間の溶液中で劇的な変化を遂げたのは、この時間に臨界核を形成した為であると考察した。また、タカアミラーゼ濃度を変化させると、高濃度になるにしたがい、クラスター形成が短時間で生じることも観察されている。2光束干渉計による溶解度測定も本研究で行ったが、タカアミラーゼ結晶は溶解度の温度依存性が非常に低いことが確認された。そのため、より精度のよい測定を行うために大きな単結晶を現在作成中である。なお、タカミラーゼで観察された分子会合は、同じ動的光散乱法によってもリゾチームでは検知されなかった。これは、分子量の違いに起因すると思われる。
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