研究概要 |
重い電子系物質では磁気体積効果が重要であることが多い。本研究では極低温下で磁化と磁歪の同時測定が行える装置を開発し、重い電子系の磁化機構の解明に役立てることを目的とした。 われわれはこれまでにキャパシタンスファラデー法を用いた極低温強磁場下の磁化測定技術開発を行ってきており、現在50mK、9Tまでの高分解能の磁化測定が可能である。本年度は、この装置のキャパシタンス式荷重計に取り付けて試料の磁歪を測定するための、超小型のキャパシタンス変位計の開発を主に行った。このキャパシタンス変位計には軽量であること、非磁性であること等が要求されるので、全てエポキシ樹脂を用いて製作した。電極面は金蒸着により形成した。この結果、全重量を1グラム程度に抑えることができた。 この装置を用いてCeRu_2Si_2の磁歪測定を行い、再現性や感度のチェックを行った。その結果、Δl/lで10^<-7>程度の変化を再現性よく測定できることを確認した。CeRu_2Si_2の磁化・磁歪測定の狙いは、この物質の特徴である1-パラメータースケーリングが極低温下でも成立しているかどうかの点である。現在CeRu_2Si_2の磁歪測定は継続中であるが、0.5K以下の温度領域では1-パラメータースケーリングが破れていく傾向が見られた。今後CeB_6,(Ce,La)B_6の測定を行い、4重極転移と磁気体積効果を研究する。
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