研究分担者 |
金子 新 広島大学, 工学部, 教授 (10038101)
馬谷 紳一郎 (馬谷 慎一郎) 九州大学, 応用力学研究所, 助手 (30112353)
オストロフスキー A (オストロフスキー A. / オストロフスキー サレク) 九州大学, 応用力学研究所, 助教授 (70243962)
竹松 正樹 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (50038535)
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研究概要 |
この研究では,海面高度計を搭載した人工衛星TOPEX/POSEIDONの軌道に合わせて,四国沖に黒潮を横断する測線を設け,その測線上で,CTD/XBT観測と曳航式ADCP(音響ドプラー流速分布計)観測をなるべく頻繁に行い,それらの観測によって得たデータを,平行して実施された係留流速観測などのデータとともに総合的に解析し,以下の結果を得た. 1.曳航ADCP観測による表層の流速データの解析から,黒潮の表層の最強流部が沿岸に接近している場合と沖合に存在する場合の二つのモードがあること,また,この最強流部の沖合に第二の強流部が存在する場合があることなどが分かった. 2.黒潮強流域に係留した上向きADCPによって,深さ300m付近で100cm/secを超える速い流れが観測されたほか,10^<-2>sec^<-1>を超える大きな鉛直流速シアが観測された. 3.これらの測流結果を,測線沿いに行われたCTD/XBT観測のデータから求めた地衡流の鉛直シアと比較した結果,上記の極めて大きな鉛直シアは,この時の測線観測データから求めた地衡流シアでは十分には表現できなかったが,それ以外の場合では黒潮域でも地衡流平衡がほぼ成立していることが分かった. 4.沿岸の検潮所の潮位データが,黒潮の沿岸側の水位の時間変化をよく表現していることが分かり,沿岸近くが計測できない海面高度計のデータを補えることが分かった. 5.これらの現場観測データと衛星海面高度計データを総合的に利用し,黒潮の流量の時間変化を3年間にわたって10日毎に推定した.その結果,黒潮の流量変化に季節変化がはっきりとは見られないことが分かり,今後の重要な研究課題を提供した.
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