弾性波探査による無植生斜面の風化帯の構造解析

• 研究課題/領域番号: 07454123
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 一般
• 研究分野: 地質学
• 研究機関: 大阪市立大学
• 研究代表者: 平野 昌繁 大阪市立大学, 文学部, 教授 (00047177)
• 研究分担者: 三田村 宗樹 大阪市立大学, 理学部, 助教授 (00183632) ; 石井 孝行 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (40045159)
• 研究期間 (年度): 1995 – 1997
• 研究課題ステータス: 完了 (1997年度)
• 配分額: 6,500千円 (直接経費: 6,500千円); 1997年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円); 1996年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円); 1995年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
• キーワード: 無植生斜面 / 弾性波探査 / 表面速度 / ミラージ層 / 土砂生産ポテンシャル / 屈折法 / 風化帯の構造 / ミラージ現象

研究概要

一定の特徴を示す地形は、一定の表層物質で構成されていて、それは風化作用と侵食作用のあるバランスのもとに形成されたものである。その場合の風化帯の特性については、植生のある斜面と植生の無い斜面(露岩斜面)において全く異なることが指摘されている。
植生で被われた斜面上には一定の構造をもつ風化帯が発達しているが、植生が失なわれることによってそれは無植生(裸岩)斜面となる。その場合、植生の喪失によってどれだけの土砂生産が行なわれるかを評価するためには、無植生斜面の風化帯の構造を明らかにする必要がある。その目的で姫路市東方の宝殿付近、栃木県足尾山地、の無植生斜面を対象して選び、弾性波探査(屈折法)による調査を行い、あわせて斜面等を知るための精密地形測量や、シュミット・ハンマーによる岩盤強度の測定などを実施した。
その結果いずれの地域においても、無植生斜面は傾斜35〜42度に達し、その表面には800〜1200m/secの速度層が露出していることが明らかとなった。無植生斜面についてもミラージ現象が認められ、表面速度と地下への弾性波速度増加率は、植生のある斜面とは違って逆相関の関係にあり、表面速度が大きいほど地下への速度増加率が小さいことが明確になった。
一方、植生に被われた斜面の最上部には、300m/sec程度の風化帯が一般にみられるが、それもまたミラージ層であり、表面速度と速度増加率の比例関係にもとづけば、尾根部分では深さ約10mで無植生斜面上に露出する限界速度に達すると考えられる。谷頭部分ではその深さをゼロとして、平均約5mの土砂が侵食され得るが、これを植生の喪失による山地斜面からの土砂生産のポテンシャルると考えることができる。