研究概要 |
1.4配位1,2-オキサボレタニドについては、相当するβ-ヒドロキシジメシチルボランを合成し、18-クラウン-6存在下KHを作用させ、合成することに成功した。これはX線結晶構造解析から歪んだ四面体構造を有し、減圧下無溶媒での加熱実験から、ボロン-Wittig反応中間体であることが分かった。次に、ベンズアルデヒド付加体のトリメチルシリルエーテルを熱分解したところ、相当するオレフィンを与えることを見出した。2.5配位2-フェニル-および2-メチル-1,2-オキサゲルメタニドについては、まず、Martinリガンドを有するβ-ヒドロキシアルキルゲルマンを合成し、18-クラウン-6存在下、KHを作用させ合成した。X線結晶構造解析から歪んだ三方両錐構造をしていることが分かった。減圧下無溶媒での熱分解により、ゲルマニウム-Peterson反応中間体であることが明らかになった。加熱時の異性化反応の速度論的検討から、両者は異なる機構で異性化することが分かった。3.5配位4-フェニル-1,5-ジオキサ4λ^5-ホスファスピロ[3.3]ヘプタンは相当するビス(β-ヒドロキシアルキル)ホスフィンオキシドをAppel試薬(Ph_3P-CCl_4)を用いて環化脱水することによって合成することができた。2,2,6,6-テトラフェニル体およびテトラキス(p-クロロフェニル)体の単離はできなかったが、後者の3,7-ジメチル体は、三種類のジアステレオマ-のいずれも単離でき、X線結晶解析から、二つは少し歪んだ三方両錐構造を、一つは歪んだ四角錐構造を有することが分かった。単離できなかった化合物も合成時の反応混合物を加熱すると、一分子から二分子のオレフィンが生成するという興味ある結果が得られた。また、酸素を窒素に換えた5配位1,2-アザホスフェチジンの合成とそのC-アピカル疑似回転異性体の観察にも初めて成功した。これらの結果の一部については速報として報告した。
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