研究課題/領域番号 |
07454176
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
無機化学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
坂東 尚周 京都大学, 化学研究所, 教授 (70027027)
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研究分担者 |
寺嶋 孝仁 京都大学, 化学研究所, 助手 (40252506)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1996年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 高温超伝導体 / 構造設計 / MBE / 断面STM / 電荷貯蔵ブロック / YBa_2Cu_3O_<7-δ> / SrCuO_2 / PrBa_2Cu_3O_<7-δ> / Sr(La)TiO_3 |
研究概要 |
酸化物高温超伝導体の特徴は数枚のCuO_2層からなる伝導ブロックと、電荷を供給する電荷貯蔵ブロックが積み重なった、自然の超格子構造である。本研究課題は分子線エピタキシー(MBE)法により酸化物高温超伝導体を原子層のオーダーで制御し、新規な構造を設計することを目的として、各種のヘテロ構造の作製について検討を行った。具体的にはPrBa_2Cu_3O_<7-δ>/YBa_2Cu_3O_<7-δ> (YBCO)/PrBa_2Cu_3O_<7-δ> (PrBCO)および、SrTiO_3 (STO)/SrCuO_2構造の作製を行った。 PrBCO/YBCO/PrBCOヘテロ構造の研究家からはYBCOの表面の1ユニットセル層は、最表面層のCuO_<1-δ>層の上にNaCl型のMO原子層を持つ酸化物を成長し、MO-CuO-BaOの原子層からなる、電荷貯蔵ブロックを形成したときに超伝導が発現することを見い出している。これは、表面、界面での超伝導性が重要なトンネル接合や電界効果素子の研究によって重要な知見である。 STO/SrCuO_2ヘテロ構造においてはSTOに電界を加えて、誘起した電荷をSrCuO_2層に注入することで、電気抵抗を変化させることに成功した。 本研究の主要なテーマである薄膜の走査トンネル顕微鏡(STM)観察では、YBCOでのユニットセルを単位とした二次元成長や、SrRuO_3におけるステップフロー成長を示唆する結果など、今後の構造設計の実施にあたっての重要な知見を得た。今後、構造設計を行ったヘテロ構造試料の断面STM観察により、積層方向での電子状態やキャリアードーピング機構が明かになれば、バルクの系にフィードバックすることで新物質探索の指針とすることが期待できる。 以上のように、本研究においてMBE法を用いて酸化物高温超伝導体の超薄膜からなるヘテロ構造を作製することに成功した。最近、高温超伝導体の応用の有力な候補としてジョセフソンプラズマ振動を用いた、ミリ波発振素子が関心を持たれている。そのためには、ジョセフソン結合した超伝導体超薄膜からなる結晶性に優れたヘテロ構造を作製する必要があるが、この結果はその実現にあたり大いに寄与するものと期待できる。
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