研究概要 |
(1)フェノール性酸素を架橋基として共有し、二つの非等価なN_2O_2金属結合サイトを有するマクロサイクルを用いて、Ni (II) Mn (II),Cu (II) Mn (II),Ni (II) Co (II),Cu (II) Co (II)およびびCu (II) Ni (II)錯体を合成して、その構造と物理化学的性質を研究した。磁気測定から金属イオン間の反強磁性的スピン交換相互作用を明らかにした。これら錯体は電極上でNi (I) Co (II)やCu (I) Co (I)などの異常原子価錯体を安定に生成した。これら異常原子価錯体を電子スペクトルや電子スピン共鳴法で同定した。Cu (II) Ni (II)錯体は強い反強磁性的相互作用(-90cm^<-1>)のために、液体窒素温度では基底スピン二重項として存在することを確認した。ESRからスピン二重項状態の1個の不対電子はd(z^2)性の分子軌道上にあって、Cu (II) Ni (II)の二つの金属上に非局在化することを初めて明らかにした。 (2)Co (II) Pb (II)錯体を合成してその分子構造と酸素化挙動を研究した。Co (II)は隣接Pb (II)の共同効果で、室温で可逆的酸素化挙動を示すことを明らかにした。更に、Co (II) Mn (II),Co (II) Fe (II),Co (II) Co (II)錯体を合成して、その構造と性質を調べた。 (3)二つのN_2O_2金属結合サイトの窒素を一方はイミン,他方はアミンにしたマクロサイクルを新規に合成して、一連のCu (II) M (II) (M=Mn,Co,Ni,Cu,Zn)ヘテロ二核錯体を合成した。これら二核錯体の分子構造を決定し、磁気的性質を調べた。これらヘテロ二核錯体は溶液中でも安定で、電極上で異常原子価錯種を生成することが示された。
|