研究課題/領域番号 |
07454181
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
機能・物性・材料
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
稲辺 保 北海道大学, 大学院理学研究科, 教授 (20168412)
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研究分担者 |
内藤 俊雄 北海道大学, 大学院理学研究科, 講師 (20227713)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
1997年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1996年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1995年度: 5,700千円 (直接経費: 5,700千円)
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キーワード | 電荷移動錯体 / 水素結合 / ジアミノピレン / 電気伝導度 |
研究概要 |
1,6-diaminopyreneの電荷移動錯体のいくつかが異常な電気物性を示すことから、系統的に錯体結晶作成を行い、その構造・物性を調べた。電子受容体は基底状態が中性となるものから、イオン性になるものまで、幅広い電子受容能をもつ15種を選んだ。これらの錯体は、構造・電子状態から以下の2グループに分けられ、それぞれについて本研究で得られた成果を記す。 1.中性・交互積層構造の錯体:第一のグループはp-chloranil(CHL)に代表される交互積層型の構造をとる中性の錯体であるが、この構造・電子状態をとる結晶が導電性を示すということは普通はあり得ない。しかし、CHL錯体(10^0 Ω cm)をはじめ、p-bromanil,2,5-dibromo-3,6-dichloro-benzoquinoneとの錯体の場合でも、同様の高伝導性を示す錯体が得られることが分かった。さらに、これらの錯体は室温伝導度と磁化率の温度変化から2つの傾向に分けられることが分かった。 2.イオン性・分離積層構造の錯体:TCNQとの錯体に代表されるイオン性の分離積層型の構造をもつ結晶が、新たに5種得られた。どれも完全にイオン化しているが、室温で10^<-1>〜10^3 Ω cmという高い導電性を示すことが分かった。しかし、高伝導性と矛盾する極めて大きい活性化エネルギーをもつという特徴が明らかになった。面間距離が均一であるが、IRによって全対称モードが観測され、spin-Peierls系である可能性が示唆されている。 上記の2つのグループで共通の興味ある点は水素結合との関連性で、これらの系での小さな伝導度の異方性を見いだし、水素結合が導電機構に重要な役割を果たしていると考えられる。構造解析が未完成の錯体もあるが、今後は不足したデータを埋め、π電子系の相互作用と水素結合の強さを系統的に評価する予定である。
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