研究課題/領域番号 |
07454208
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
遺伝
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
原田 朋子 (太田 朋子) 国立遺伝学研究所, 集団遺伝研究系, 教授 (80000256)
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研究分担者 |
田嶋 文生 (田嶋 文生郎) 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (30183065)
高野 敏行 (高野 敏行郎) 国立遺伝学研究所, 集団遺伝研究系, 助手 (90202150)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
7,300千円 (直接経費: 7,300千円)
1996年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1995年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
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キーワード | DNA多型 / 分子進化 / 弱有害突然変異 / 適応進化 |
研究概要 |
DNAの変異と遺伝子の進化に自然淘汰や遺伝的浮動がどのように影響を与えるかという問題は、生物の進化機構を理解するためには是非とも解決しなければならない問題である。本研究では蛋白質をコードするDNA領域に起こる変異をアミノ置換を伴う同義置換とアミノ酸変化を起こさない非同義置換に分解し、種内・種間で起こる変異から、自然淘汰、特に微弱効果をもった突然変異や遺伝的浮動の効果を解析した。この際、データバンクに蓄積された哺乳類のデータを用いるとともに、ショジョウバエの種間変異については新たに調査も行った。 哺乳類・ショウジョウバエともに系統依存的な分子進化のパターンを見い出すことができた。特に哺乳類の49の遺伝子配列を用いて、同義置換に対する非同義置換の割合が、ネズミの類でヒトの類より低いことを示した。これは、同義置換と異なり非同義置換の多くは微弱有害効果をもつというほぼ中立理論の期待値と一致する。ショウジョウバエについてもD.melanogaster-D.simulans-D.yakuba種間で10の遺伝子を用いて解析を行い、同義置換に集団のサイズ効果が見られるとともに複数の遺伝子で非同義置換が系統依存的な有意な置換速度の揺れを示すことを明らかにした。また、蛋白質内のアミノ酸座位間の相互作用を取り入れたKauffmanのNKモデルを用いて解析し、哺乳類で観察される非同義置換の揺れを説明するには、集団サイズや環境の変化を取り入れる必要があることが明らかにした。また、種内のDNA変異を扱う上で、サンプリングの効果も解析した。 以上、哺乳類とショウジョウバエを材料として同義置換と非同義置換を比較することで自然淘汰や遺伝的浮動の効果を有意に分解出来ることを明らかにできた。今後は、アミノ酸座位間だけでなく遺伝子間の相互作用を取り入れたより複数系の解析が期待される。
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