配分額 *注記 |
7,700千円 (直接経費: 7,700千円)
1997年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1996年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1995年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
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研究概要 |
1980年代後半から脚光を浴び始めてきた個体モデルや人工生命の手法は,個々の生物現象に注目し,ボトムアップにシステムを構築していく手法であり・微分方程式などで記述される力学系モデルによる解析よりも,現実の生態系を考察するにはより相応しい方法であると考えられる.本研究は,これまでの実験的研究に基づいて,個体モデル,あるいは人工生命モデルを構築し,ボトムアップ的に種の多様性と安定性の関係について考察しようとするものである.また,このように構築されたモデルの挙動を,実験的に実際に構築された生態系と照らし合わせて評価しようとするものである.我々は当該研究期間に,一方で豆-豆象虫-寄生蜂を用いた実験系における系の複雑性-安定性の問題を研究し,他方で人工生命の生態学への利用を通じて,生態学的に安定な種の組み合わせの可能性について研究した. 過去3年間,恒温室で,豆-豆象虫-豆象虫に捕食寄生する寄生蜂(各々複数種)でなる実験生態系を構築し,飼育した.一方,同期間にシミュレーションモデルを構築し,段階的により大規模でかつ一般的な生態系モデルへと拡張し,人工生命的手法を用いた生態系モデルを構築し,その挙動を調べた. 生態的に安定な種の組み合わせを形成する構成種を生成するメカニズムとしては,可変長遺伝的アルゴリズムなどの手法を用い,最終年度には,各栄養段階を特徴づけるビッ列で表現される人工生命を生成し,有限の資源を巡る競争や捕食関係をモデル内で進化させてみた.これらのシミュレーションの結果に見られる種の組み合わせを,実験的研究の成果と対比しながら,進化的に安定な種の組み合わせという概念の有効性について考察を行なった.
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