研究概要 |
本研究の目的は,材料の応力,ひずみ,形状を高精度で自動的に計測するための新しい計測法としてフーリエ変換位相シフト法を提案し,それを用いた高精度の微小変形計測や三次元物体の高精度非接触形状計測法を開発することである. 本研究では次のような新たな知見が得られた.まず,フーリエ変換位相シフト法の理論的検討を行った.フーリエ変換位相シフト法は,干渉縞や投影格子の位相を1周期分だけシフトさせながら複数枚の画像を取り込み,得られた三次元画像に対して位相シフト方向にフーリエ変換して周波数1の成分だけを抽出し,そこから各画素毎の位相値を求める方法であり,ほとんどのノイズ成分を自動的に消去できるなど,理論的に良い方法であることが確認できた.次にトワイマングリーン干渉計による平面度計測を行い得られたデータから10ナノメートルオーダーの平面度計測ができていることを確認できた.本解析方法をモアレ干渉法やホログラフィー干渉法に適用するために,磁気テープを用いた回折格子の試作を行い回折格子の製作に成功した.三次元物体の形状計測へ適用としては,基準板や基準格子の精度的な問題が残るものの,10ミクロンオーダーの形状計測が非接触で全自動で行える方法を確立した.さらに,新たに考案したカメラやプロジェクターの位置パラメータを決定法と本解析法を組み合わせることにより,従来の形状計測法では避けられなかったレンズの収差の影響による歪みの入らない新しい計測方法を開発することができた.
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