研究概要 |
現在,シリコンエッチング技術は,マイクロマシンの製作において必要不可欠なものとなっている.こうしたエッチング加工では,被覆されたレジストの一部を除去して所望のマスクパターンを作ることが必要となる.リソグラフィ技術はそのような任意の微細なマスクパターンを,シリコンウエハ上に形成する微細加工技術の中心をなすものである.その中で電子線ソグラフィは,サブミクロンオーダの微細加工を比較的容易にできるなど様々な利点を有している.しかし,電子線の特性,加工条件などがパターン精度に及ぼす影響を体系化したものは皆無である. そこで本研究では,レジスト加工法としての電子線描画手法について加工学的見地より,その加工機構を実験的に解明し,マイクロ機械要素製作のための電子線加工技術を確立することを目的とした. まず,電子線描画条件として加速電圧,電流値,走査速度を考慮し,これらの条件が電子線特性に与える影響を調べた.また,描画条件を変えたときのマスクパターン形状精度を,金属顕微鏡,走査型電子顕微鏡(SEM)などにて測定・定量的な評価を行い,本実験装置における最適な描画条件を見出した.次に,基板面方位に対するマスクバターンの仕上がり精度と整列度が,エッチング後におけるマイクロ機械要素の形状精度などに与える影響を実験的に解析・評価した.その結果マスクパターンの形状精度がエッチング後のマイクロ機械要素の形状精度などに大きな影響を与えていることを確認した.上記の結果を踏まえて,最終的には描画の際の条件の目安となりパターン精度の向上を図るために,電子線描画のパターン寸法の予測・補正を行うコンピュータシミュレータを製作した.
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