研究概要 |
本研究は,把持部に滑りセンサーを持つ自由移動型の作業用宇宙ロボットによって,外力駆動されていない慣性運動中の対象物体をできる限り非衝撃的に把持する方法を研究することを目的としている. まず,平成7年度では,掌中に囲い込んだ物体を出来るかぎり非衝撃的に把持するプロセスを考察した.すなわち,各指関節に等分に衝撃力や回転運動量の負荷が分散されるようなマニピュレータ・コンフィギュレーションを,仮想質量の概念と各関節に誘起される関節加速度の仮想ロータ慣性を導入することによって求めた.このような力学を用いて,各関節に等分に衝撃負荷が分散されるようなマニピュレータ・コンフィギュレーションの理論的に求めた.つぎに,回転運動検出用すべりセンサーを開発し,いくつかのプロトタイプを製作した. 平成8年度は,まず既設の空気浮上ベッドを用いて2次元モデルによる総合的な実験を行なった.また,回転運動検出用すべりセンサーの試作も行なった.衝撃を緩和するための把持方法は,把握される物体が多くの指に囲まれ衝突を繰り返しながら次第に把持される,と言うプロセスである.しかし実際に把握できる対象物体はおそらく並進速度や回転速度き小さいものに限られるだろうと思われる.次に,回転検出用の滑りセンサーの開発は順調に行なわれた.この種の触覚センサーの共通的な課題は,どのような滑り感覚を知覚するのか,検出感度とレンジをどれほど要求するのか,そしてライフはどうか,である.宇宙用のセンサーでは,ライフは重要であるが本研究では未着手に終わった.しかし回転滑り用の十分な感度を持ったセンサは開発できた.
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